根っこ堀り

我が家の夏恒例行事に、山小屋で避暑するというのがあります。
とにかく涼しくて、空気が美味しくて、鶯のさえずりが清々しくて、川のせせらぎから−イオンが流れ込む、健康回復にはもってこいの場所です。


毎年、そこで私は野良仕事に精を出すのが楽しみの一つです。
切り株の根っこを掘り出すのです。
数年前まで、ヒョロヒョロで何の役にも立たなかった息子Aは、今では一の人足頭に出世しています。
息子Bもやっと、今年から、根っこ堀の道具を与えられ、立派に役目を果たしていました。
一年一年息子たちが確実に成長している姿を見るのは楽しいものです。



今年は、夫がこの作業に参加せず(会社から持ち帰った宿題に負われていた)、妹夫婦も息子のお受験を控えて山小屋に来なかったので、実質は私と約70歳の母と息ABの四人で根っこを掘りました。
手順としては、周りをスコップで堀り上げ、ドロを落として根っこを一本ずつ切っていって、最後に丸太を差してテコの要領で抜くというものです。
ものすごい労力が必要です。
大きな切り株だと、直径二メートルほど掘って十数本の太い根を切っていくことになります。根を切るのは、今までのこぎりを使っていましたが、今年からマサカリを登場させたら、こちらの方が随分楽に根が切れることが判り、来年からは根っこ掘りの、「一の道具」になりそうです。


このマサカリ、けっこう重いものなので、振りかぶって木の根っこに命中させるのには、かなりのコントロールが必要になります。マサカリの名手が息子Bだということが判明して、息子Bはすっかり「男」を上げ、ご満悦でした。
一方、息子Aは、今までのあの「のこぎり」での労働はなんだったのだと、かなりの徒労感に苛まれ、根っこ掘り作業の二日目は作業から脱落して、山小屋にこもって宿題に取り組んでいました。



この二日間で、抜いた根っこは大小あわせて7個。ものすごい成果です。
お蔭で、体のあちこちが筋肉痛です。
全身運動で、気持ちの良い汗がかけて、しかも掘り揚げた根っこ前に充実感まで味わえるこの作業は、一度はまると病みつきになります。