歴史博物館〜九龍

私は旅行先の土地土地で、可能な限り足を運ぶ場所は、その土地にある「歴史民俗博物館」みたいなところです。
それぞれの土地の歴史や成り立ちについて、けっこう力を入れて展示・説明がしてありますから、そういう場所を訪れて「ハズレた」という経験はしたことがありません。
そこで、今回も私のウィッシュリストに「歴史博物館」を入れたのでした。
早茶を楽しんだ後は、タクシーで博物館へゴー。


香港の歴史博物館は、なんと入場料がタダ。おそらくイギリスの大英博物館のような存在にしたかったのかもしれません。
歴史博物館だけあって、入り口付近の展示は、「○億年前の香港」から始まっていて、もちろん人間の姿はありませんでした。それからしばらくして「○万年前の香港」となって、原始人みたいな人たちの暮らしぶりが展示されていて、その後、貧しい漁村の時代へと続きます。香港と一口に言ってもいろんな民族が共存していたらしく、各民族の風習や衣装が随分違う様子もわかりました。芸術品については、中国本土とは比べ物にならないとはいえ、色濃く中国本土の影響を受けていて、間違いなくここは中国の領土だったんだなあと実感できます。
そして、アヘン戦争を経て、イギリス領となった香港の様子、白人が支配した時代、そして返還された後の飛躍的な発展の様子なんかが見られます。
展示の仕方もおもしろくて、楽しい場所でした。


そのあとは、再びタクシーで、息子Aの希望であった九龍の跡地を見に行くことにしました。
ここは、かつての九龍城塞があった場所で、一昔前に取り壊される前には、悪の巣窟として名高い場所でした。
この地区は、イギリスの租借地から例外的に外されていたので、イギリスにも中国にも法治権がなかったために、文字通りの無法地帯となりました。
しばしば中国を舞台にした小説や漫画に登場する東洋一の魔窟でした。
富士山の麓の青木ヶ原樹海同様、足を踏み入れると二度とは出られないというような噂もありました。


1990年ころに、この城塞が取り壊された後には、整備されて普通の住宅街になっています。住宅街とはいっても、土地の価格の高い香港ですから、高層ビルが立ち並ぶ普通の住宅街です。高層ビルと言ってもお洒落なファッションビルやオフィスビルじゃなくて、高層アパートという感じかな。路面に面した一階には店舗が入っていて、肉・野菜・香辛料・薬局・銀行・菓子店・レストラン・喫茶店・・・が軒を連ねていました。なぜか、洋品店関係の商店が少なかった気がします。
そこで、息子Aが目をつけていたのが「潮州料理」のレストランです。
魚介類を使った薄味の味付けが特徴なんだそうです。
そういうレストランで昼ごはんにするわけなんですが、料理の選び方は、まずは店先に並んだ魚を指さして選び、それを調理してもらうという方式なのでした。
やっと飲茶形式に慣れたと思ったら、今度はまた違う方法での注文の仕方で、毎回ドキドキしながらごはんを食べることになります。