卒業式の父兄

卒業式の父兄
今日は、多くの公立中学校で、卒業式が執り行われた日です。
先生方のドレスコードは、ブラックフォーマル。
生徒は、直前の指導で、さんざん先生方に注意されて、スカート丈・ズボン丈・髪型などを、「愛の校則」にしてあります。
では本日の、もう一方の主役である、父兄は?
今日の話題は卒業式の父兄の様子を完全レポートします。

和服で来られるお母さんは、全体の一割程度です。朝早くから美容院を予約して、整えてきたのでしょう。髪も美しくセットしてあって、スプレーの粒子がキラキラと輝いています。着付け代・セット代など、お金と時間をかけて、子どもの卒業式に臨む、比較的ゆとりのある家庭の奥さんとお見受けしました。

七割くらいの方が、ブラックフォーマルかダークな色合いのスーツ姿です。ブラックフォーマルで来られるお母さんは、経済観念の発達した考えの持ち主の方々なのでしょう。
「わざわざ子供の卒業式のために、なにもスーツを新調することないわ。七年前に義父が亡くなった時に買った、あの喪服。サイズ的に、ちょっと厳しいかもしれないけれど、一時間か二時間の辛抱だもの。なんとかなりそう。」
こういっちゃあなんですが、この年代のお母さん方って、結構太っておられる方が多くて、立っている状態のうちから、胸部と下腹部に無理がありそうなのに、二時間もイスに腰掛けて大丈夫なんだろうか、と、老婆心ながら心配してしまいました。

残りの方は、ファッションに関心を寄せておられるお母さんか、全く関心を持たないお母さんの両極端に分かれます。

ファッションに敏感なお母さんにとって、卒業「式」は、絶好のお買い物の口実になります。「折角の子供の晴れ舞台なんですもの。私も心から祝ってやりたいものだわ。式で、母親が古臭いようなスーツ姿じゃあ、子供だってみじめだろうし。やっぱり新調しないとだめかしらねぇ」みたいな言い訳が通ってしまう訳ですよ。

この時期に衣料品コーナーを覗けば、必ずマネキンが着ているようなスーツ、つまり今年のトレンドである、ちょっとしたリボン使いや、フリル使いが取り入れられたものを買った方。
そのスーツは、「ご卒業おめでとう」と書かれたバナーが掛かった卒業式のためのスーツ売り場で買われた物です。コンセプトは「上品な甘さ」だったり、「上品なかっこよさ」だったり「上品な色使い」だったりしますが、なんにせよ「卒業式スーツ」に「上品な」は外せません。
なぜそんなに「卒業式スーツ」にこだわるのか?それは、同じようにスーツを新調したお母さんに、二つの流れがあるからなんです。

スーツを新調したお母さんで、第二の流れは、卒業式用スーツ専用の売り場じゃなくて、もう少し「トンガッタショップ」で購入した方。
スカートの丈は当然、微妙に膝小僧が見える丈で、フリルやリボンが、さりげなく大ぶりになっています。布帛に織り込まれたラメも、「卒業式スーツ」は若干抑えた光り具合なのに対して、目立った感じです。上下揃いではなくて、スカートに軽い素材を使ったものを選んだ人もいました。この路線の人は、若いか、もしくは若作りのお母さんです。十代のころにはちょっとヤンキー道を経験していそうな感じです。何といっても極めつけは、(どういう感覚なのか理解できませんが)ブーツを履いているのです。
なぜなの?
「トンガッタショップ」では、スーツにブーツを合わせて売っているのでしょうか?確かに、今年はブーツの当たり年だったようですが。しかし、卒業式にブーツねぇ。

二時間の式が終わると、卒業証書の入った丸い筒を手にした卒業生と母親が、並んで花道を通ってゆきます。
子供とペアになると、母親と子供の雰囲気がまさしく同じなことに驚かされます。
いや、ホント。
旦那と奥さんの雰囲気って違うことはありますが、子供と母親の雰囲気は同じなんです。どちらかというと、男の子の方が、母親の影響を受けているような気がしました。「トンガッタ」スーツを着たお母さんの息子は、みんな髪の毛がムースで固めて尖がっていましたから。