いきなりビロウな話題ですが、授業中に、やたらと唾を飛ばして講義する先生っていませんでしたか?
たまたま、引き当てたくじのお蔭で、先生の飛ばす唾と、舞い上がるチョークの粉を防ぎながら、一ヶ月間を過ごした経験、ありません?



もう一つ忘れてはならないのが、プリント類を配布する際に、唾で指を湿らせてから、数え始める先生。嫌だったなー。



私の記憶の中の「その先生」は、デリカシーのかけらも無いような中年の男の先生でした。唾を飛ばすとか、指を湿らすとか、そういうことには異常なくらい敏感になっているティーンエイジャーの女の子にとって、「その先生」の授業は苦痛以外の何者でもなかった。



そんな記憶をもつているからこそ、私は指サックを嵌めて授業に出ます。
特に冬場は、手がカサカサしていて、プリントを重ねて配ったりしがちだからです。



さて、話は変わりますが、私の勤務する中学では、定期テストの後に、ファイルチェックと称して、テスト範囲までのプリントをファイルに綴じたものを集めて先生がチェックする習慣になっています。
授業中にノートをとるのではなく、先生のオリジナルのプリントに要点をまとめたり、意見を書いたりするシステムになっているのです。
そのファイルも評価の対象になるので、枚数やプリントの充実度などをチェックします。
プリントチェック表というものを配ってあるので、生徒はその評価表の順番に従って、ファイルしなおして提出するというのがお約束なんですが・・・・



一斉に三クラス分ものファイルの内容をチェックするのは、正直なところ、とってもうんざりする仕事です。ほとんどの生徒は、お約束どおりファイルの中身を並べ替えてあるのですが、全体の三割程度のものはプリントの順番がバラバラになっているのです。もしも全体一割の生徒なら迷わずC判定をつけたでしょうが、ファイルの順番が違うという理由で、三割の生徒にC判定をつけるとなると、新米の先生としては迷いが生じてしまいます。
そんなわけで、しつこく生徒には順番どおりに並べ替えるようにと、わざわざ授業中に並べ替える時間までとってやるのに、出来ない生徒がいるのです。



この時、脳裏に浮かんだのは、「その先生」の指舐めなめプリント配りの情景でした。
「そうだ! この手がある」



みんな、ちょっと先生の告白を聞いてくれるかな? 今まで黙っていて悪かったけれど、ファイルチェックの事。あれさー、時々プリントの順番どおりじゃない子がいるのよねぇ。先生はプリントが、ちゃんと揃っているか確かめる時に、何度も何度もタップリ唾をつけて繰らせてもらっていたんだわー。プリントの端に濡れた跡がついているでしょう。あれ、先生の唾。隣のクラスの子から、まさか先生の唾じゃないだろうねぇ、という指摘があったものだから。このクラスでは先に告白させてもらった」



自分の名誉のために言い添えておきますが、唾をつけてプリントをめくったりすることはありません。



この偽造告白の後、ファイルを集めることがありましたが、ただの一部も順番が違っているファイルはありませんでした。
本当に、これほどまでにすごい威力があるとは思いもよりませんでした。
若くて美しい美貌の先生の場合は、逆効果ということもあるかもしれませんが、そうでなければ、一度お試しください。