中学生をもつ母親へ

中学生の子供を持つ母親なら、とりあえずは子供の成績が気になりますよね。小学校の時と決定的に異なるのは、定期テストごとに、各教科の得点と、合計点と、順位が載るところでしょう。
一年生の終わり頃までには、学年の中で、我が子が、どの辺りの位置にいるのか、だいたいの見当がつくようなります。それは往々にして、我が子に抱いていた儚い幻想がボロボロと崩れていくということになりかねませんけど。客観的にいって、上位二割の生徒の親以外・・・単純計算で八割の親は、切ない思いをしているんじゃないですか?
この切ない思いは、お母さんの心の中で煮詰まって、効果がないとはわかっているのに、子供への詰問へと姿を変えていくのです。私も母親ですから、よくわかる。



子供も生きていく上で何とか反撃しないといけないから、古典的な手法で反撃を試みます。
このあたりの攻防は、どなたも経験があると思います。



第一回目の定期テストの後の子供の言い訳は何といっても
「これが生まれて始めてのテストだったら、勝手がよくわからなかった」がダントツでしょうね。もっとも生まれて初めてのテストというのは、全国の中学一年生が同じ条件なんだけど。
第二回目は「ちょっとしたケアレスミスが響いたなぁ」
第三回目は「テスト範囲があやふやだった」
最期の定期テストでは「風邪で頭がぼんやりしていたから・・・」



時々、「息子は九十点も得点しているのに、5がつかないのはおかしい」というクレーム
が話題になります。

私も、自分が母親だけしていた時代には、得点至上主義でした。
ところが、いざ教員の立場になってみると、そうじゃないことに気がつきました。
まずは、子どもの通知表を広げてみてください。
例えば国語の場合は五つの項目について評価されます。
① 関心・意欲・態度
② 話すこと・聞くこと
③ 書くこと
④ 読むこと
⑤ 言語分野



スピーチの課題に対して、蚊の鳴くようなボソボソした声で発表したら、当然評価はCです。たとえどんなに内容が良かったとしても、「話す」という課題にたいする評価はCなのです。教室の一番後ろに座って聞いている私の耳に声が届かないようなことではだめなんですよね。
同様に、作文の課題に対して、四枚以上という条件が与えられているのに、三枚しか書けていなかったら、やっぱり内容以前に条件で評価が下がります。
もっともあやふやだと思われている「関心・意欲・態度」については、実は一番明確な基準を設けています。課題の提出期限に遅れがないこと。授業中に私語がないこと。プリントのチェックは、枚数が揃っていることと、授業中の内容が書かれていること。未提出なんてものがあれば当然激しく減点されます。



そんなもの、作文やスピーチや私語がどうの、なんて高校受験に関係無いという方。そういう方は、そういう子供さんや、そういう考えの親が揃うレベルの高校へ行けばいいのです。作文もスピーチも授業態度もテストの点数もよい生徒は、やはりそういう生徒が集う高校へ行けばいいのです。無理するから軋轢が起きるんだよね。



真面目に将来のことを考えて、真面目に授業を受けている生徒には、それなりの評価が与えられるのが当然ですから。もしも九十点で評定に3がついてきた息子なら、どれほど教室内で他の生徒に迷惑をかけているか、ちょっと考えてみてください。