息子への説教

中学生の中は自己中の中。
他人が持っているものなら、自分も持って当然みたいな感覚になるのです。
「やっぱり中学生なら、時計はGショックで、△◇□☆という電子辞書は必携だし、最新の携帯は×△□☆で・・・・・こういうものを持っていることがかっこいい中学生のステイタスだよね」
という話を臆面も無くしだすではないですか。



私は本当に格好いい男とは、どんなものかを具体的に説明してやりました。



例えば、友達とスケート場に遊びに行ったとき、
「いゃー、すっげぇ久しぶりだなぁ。レンタルの靴じゃ無理かも知れないけど、三回くらいなら、まだできるかもしれん。なにせ昔のことだからな」
とかいいながら、トリプルアクセルを飛ぶ。こういうさりげない一言と派手なアクションができると人が本物のお坊ちゃん。



例えば、音楽のテストで、なんでもいいから自分の得意な楽器で一曲演奏するという課題がでた時。そんな時にも、大半がアルトリコーダーを拙く演奏する中、おもむろにバイオリンケースから楽器を取り出して、調弦しながら
「最近触ってないから、指が回るか心配・・・」
とかいいながらパガニーニのバイオリンコンチェルト一番三楽章なんかを弾く。



こういう男がかっこいいし、本当にお金の掛かった育ち方をしている。Gショックや電子辞書は十万円で買えるけれど、パガニーニを弾くために払った月謝は十倍以上だよね。
「かっこいい男は、持ち物の値段ではかられるのじゃなくて、技を身に付けるのに支払った月謝の値段と汗と涙と努力と時間と忍耐の量ではかられるものだよ〜」
と話したら、ちょびっと神妙に聞いておりました。