パソコン

学校の先生には、ノートパソコンが一人一台支給されています。そこでさまざまな資料が管理されて、テストが作られ、写真が保存されています。
世の中、便利になりましたよね。
学校の先生御用達のソフトは一太郎というソフトです。今から二十年くらいまえに、電気屋さんで「一太郎」という名前をよく見ましたが、最近見ないなー。



このパソコン、もちろんすべての先生に行き渡っているわけではありません。非常勤はありません。常勤講師には、微妙な感じで届いています。二人で一台とか三人で一台という具合です。



私と一緒にチームを組んでいる二年生の国語のT先生は、常勤講師ですが、気の毒なことに、たまたま二年生の正規の先生が産休に入っているので、正規の先生がするはずの仕事をすべて任されることになっています。まだ若くて、去年は高校で常勤講師をしていたそうです。もちろんクラス担任は持っていませんが、定期テストも作らないといけないし、授業の進度にあわせてプリントも作らないといけないし、一年に五回ある漢字テストも作らないといけないし、長期休暇の前の宿題とかの計画も立てないといけないのです。
本人は、けっこうのんびりしていて、ぜんぜん深刻に捉えていないのが救いです。



たまたま今年は教科書改訂の年に当たったので去年のプリント類はほとんど使えません。
この教科書改定の大波をまともに食らうのは国語で、数学や理科や英語は内容が簡単になることはあっても難しくなることは、今の流れ的にはありませんよね。国語は、掲載されるテクストが変わると、教えるべき内容も、授業の組み立ても大幅に変更になります。唯一変わらないのが「言葉の決まり」と、漢文でした。古文は徒然草からの掲載でしたが、話が変わっていました。前のままで全然問題ないのに・・・



そんな事情もあって、T先生はいつも学校共用のデスクトップパソコンの前に陣取って、明後日使う予定の内容のプリントをせっせと作っています。
こんなT先生に、個人のパソコンが至急されないのは、ちょっとかわいそうですよね。
初めてT先生が個人パソコンをもらっていないことに気がついたのは数日前だったので、
「教務の先生に一言、私は常勤講師ですが、二年生の国語のプリントやテストを作らないといけないから、ぜひ一台私に個人パソコンを下さい、と申請したら?」と言ってあげたのです。
T先生本人は「それもそうですねえ。でも共用のパソコンでも、これが私のパソコンだと思って使っていますから」と言っていました。



T先生、若くて経験も豊富とはいえませんが、自分が背負っている責任の重さに喘ぐでもなく、パソコンが支給されていないことにも不平を言うわけでもなく、おおらかな性格のようで、すごくほっとしています。