野外教室

この辺りの中学一年生は、五月か六月に「野外教室」という四泊五日の共同生活をするという一大イベントがあります。
小学校五年のときにもには二泊三日で同様の行事がありますが、中学のはその倍ですから、けっこう準備が大変みたいです。
ちょうど、うちの学校では昨日から野外教室がスタートして、一年生の教室と、職員室の一年生の先生方がおられる島の辺りはガラーンとしています。



何といっても、中学は、いくつかの小学校から卒業した生徒が集まってくるわけですから、本当に知り合って一ヶ月かそこらの新一年生にとっては、この野外教室は「親睦を深める」という意味ではとても意義深い行事だと思います。



一方、職員にしても同様のことがいえるのです。これから三年間、この面子でこの学年を担当することになるわけですから、先生同士の親睦を深める機会になるのだと思います。が、裏を返せば、まだこの時点では、生徒同様、知り合って数ヶ月という先生の集まりだともいえるのです。



今年の一年生の先生の布陣は、六クラスを正規の教員四人(そのうちの一人は一昨年採用になったばかり)、常勤講師二人が担任(去年大学卒業したばかり)を持ち、おまけに今年大学を卒業したばかりのぴっかぴかの新米常勤講師三人が副担任、という恐ろしく平均年齢の低い組織となっているのです。



私は、机の配置の都合上、一年生は一クラスも担当していませんが、一年生の島の末席に座っております。(実質は二年生と二年・三年生の漢字検定対策クラスを受け持っています。)
というわけで、一年生の先生方の人間関係までは深く把握しているわけではありませんが、
どう考えても人事面の台所事情が苦しそうな様子は見て取れます。
今年大学卒業の常勤講師三人は、実年齢は知りませんが一般的には23歳というところじゃない。私からみたら、同僚というより、息子の先輩?みいな年齢なわけ。
まだまだ学生気分がぬけないよね。
もちろん野外教室の引率なんて初めての経験だろうから、実際にテント生活や自炊がどうなるのか、何をするのか、雨が降ったらどうするのか、五日間どうやって過ごすのか、とても想像できないと思います。



先週の金曜日に、
「マヨネーズは大きいサイズを一本にしますか?それとも小さいサイズ二本の方がいいですか?」
「もち米は買ってあつたっけ?」「え゛――、無いの?」
「生徒が木綿のトレーナーを持っていないといっていますが、フードつきのでもいいですか?」
「ビデオデッキって、○○先生が用意していますよね」
みたいな会話が乱れ飛んでいました。そんな会話を聞きながら大丈夫かなぁと、心配になってしまいました。
緊迫した会話を尻目に、ぴかぴかの新卒常勤講師は自分の出張報告書を書いていたので、隣に座っていた私は、ちょっと(ずいぶん)ドキドキしてしまいました。