修学旅行と都市伝説

一年生の野外学習が終わったと思ったら、三年生の修学旅行が始まりました。
ここらへんの中学生の旅行先は東京方面です。
二泊三日の旅程のうち、一日は東京都心をめぐり残りの一日は東京周辺の田舎方面で、野外学習のような活動が入ります。



ここに一つの都市伝説があります。
東京ディズニーランドを旅行先に入れない中学が多いのを知っておられますか?
その理由としては、
「かつて、先輩の一人が、修学旅行でディズニーランドを訪れた際、シンデレラ城の堀にミッキーマウスさんを落としてしまって、そりゃあもう大変な騒ぎになりました。 新聞に出なかった? でもさすがにミッキーもプロだよね。着ぐるみは声を出してはいけないという社内規定を守って、一言も声を上げなかったんだってー」と、いうものだそうです。



別の中学ではこんな理由でした。
「かつて、先輩が、修学旅行でディズニーランドを訪れたとき、シンデレラ城のお堀で、ドナルドダックを落としてしまったんだって。すごい騒ぎになって、それ以来○○中学は出入り禁止になっているんだよ」



すごい類似点があると思いませんか?万が一、不良の生徒がいたとして、連れのダチを突き落とすことはあっても、さすがにミッキーやドナルドは突き落とさんでしょう?
まあ、言ってみれば、典型的な都市伝説の一つだったんです。



初めて私がこの話を聞いたときは、100パーセント信じておりました。ところが、別の中学で非常勤をしたときにも、やはり同じ話が出たので、「へぇ、同じようなことって起こるんだ」と思いました。
さすがに三つ目の中学で同じ話を聞いたときに、都市伝説だと気づきました。
ではなぜ、こんな都市伝説がまことしやかにささやかれているのでしょうか?




実は、これには訳があったのです。



普通の住宅地にあるような中学だと、東京ディズニーランドはそれほどものめずらしくもない、という生徒が大多数を占めます。今までに一度も行ったことがないという生徒は少数派で、しかも少数派にしたところで、いずれ行く機会もあるでしょう、という家庭の子供たちなわけです。そんな生徒たちに高い入場料を使って、しかも限られた時間に、修学旅行としていく必要がないのです。
一方、現在私が勤めている地区の中学の場合だと、話は別で、もちろん東京ディズニーランドに行ったことのある生徒はいるでしょうが、ほぼ全員行ったことがあるという訳でもないし、今、この修学旅行でディズニーランドに連れて行ってやらないと、一生いけないかもしれないという生徒たちがある一定数以上いるから、というのが最大の理由です。




すると、同市内の中学では
「なんで△△中学はディズニーに行くのに、うちの中学はいかないのだ?」というクレームが絶対に出ます。
そんなときに、
「△△中学の生徒は、一度も行ったことがない人がいるからだよ」とはいえません。
誰も傷つけずに、しかも生徒を納得させ、かつ、迷惑行為は後々まで影響がでる、みたいな教訓まで付くわけですから、とっても便利。


 
実は、この手の都市伝説って、中学校に限らず世間一般には結構あって、うっかりすると信じてしまいそうになります。
都市伝説、また、機会があったら書きます。