卒業生

五月のある日に、去年の卒業生数人が連れ立って母校を訪れる日というのがあります。
彼らの制服は皆バラバラで同じ高校ではありません。
そういえば以前も、この時期に卒業生が母校を訪れていたなぁ、と思って何気なく彼らを観察していたんだけど、お世辞にも優等生のタイプじゃないんです。で、そういう子が揃ってしかも違う高校の制服を着て、職員室に入ってくるのは何故なんでしょうか?



さり気なく世間話をしながら、何でも聞きたいことを聞きだしてしまうのがオバサンの技。
「今日は、職員室がにぎやかですねぇ。やっぱり若い男の子が訪れてくれると職員室が若返るというか」
「ああ、あの子達ね」
「みんな制服が違うようですけど・・・・どこの高校なんですか」
「あれは、高校じゃないよ。専門学校。最底辺の子だったんだけど、ちゃんと学校に行けてよかった」
「じゃあ今日はお礼に来たんですか?」
「宣伝、宣伝。うちの中学から、彼らの専門学校へ生徒を下さいっていうお願いに来てるの」
「はあ。宣伝ねえ」
みたいな感じで聞いて、優等生タイプの人がいなかったのはなぜか、なんでみんな制服が違っていたのか、なんで五月なのかが分かりました。
そういう学校だと、今年の年末には、そこの専門学校に在籍してないかもしれないもんだから、五月という時期なんでしょう。