冬服

10月になり、たいていどこの学校でもぼちぼち衣替えが始まります。
昔とは違って、10月一日に一斉に衣替えというナンセンスなルールはなくなって、体調や気候に合わせて一週間から二週間の猶予期間があるのが一般的です。そりゃそうだよねえ。10月になったらいきなり秋冬モードになると決まっているなら、気象予報士なんか必要ないよね。



と、いうわけで、私の勤め先の中学でも、半数くらいの生徒が冬服、というのが現在の状況です。



まだまだ日中は暑いです。なんといっても職員室に風が通らないのが残念です。教室はそれでも窓をあけると涼しい風が通り抜けて、秋を感じさせてくれます。



今が一番過ごしやすいシーズンです。個人的なことですが、春は花粉が空気中に充満していてドロンと澱んでいるので、一年中で一番嫌いな季節なんです。空気の重さを感じるのは春だけです。一方の秋は、空気が澄んでいるし、朝夕のちょっと寒い感じがたまらなくいいです。




冬服が新しいのもいいなあ。新入生は別として、在校生は、冬服が一番汚い状態なのが春なんです。10月から冬服になって、半年間ずっと冬服を着続けていますから、三月四月五月というのは、胸の辺りに食べこぼしのしみが付き、ズボンやスカートのプレスが取れ、裾がほつれ、臭いがするのです。



常識的な家庭ならば、一ヶ月か二ヶ月に一回は制服を洗って着せますが、そうでない家庭は、平気で半年間同じ制服を着せ続けています。夏服ですら洗濯してなくて平気、という人たちですから、冬服なんて洗おうと思ったことも無いのかも・・・。
と、いうわけで、教室の中は、清々しい秋の空気につつまれて、洗ったはかりの制服を着た、ちょっと大人びたようにみえる生徒たちが座っています。