デバガメ

ここ数日、我が家とお隣さんとの境に植えてある、カイヅカイブキの辺りが騒がしいのです。
風もないのにバサバサ、ガサガサ・・・・。
そして常に、何者かの視線を首筋あたりに感じていました。

これって、ポルターガイストってやつ?



庭の草むしりをしている時に、その真相が解明しました。
それは、つがいのハトさん夫婦だったのです。



「あれ?なんかガサガサ音がするけど?」と私がカイヅカイブキに接近してマジマジ眺めると、枝の奥に身を縮めて隠れている奥さんハトがいるではありませんか。
見つからないように、そーーーっと体を縮めている様子をみたら、無理やり追い払うなんて無情なこと、とても私にはできません。



その時です。例の視線を感じたのは。
あわてて視線をめぐらすと、隣の家の屋根の上に、麦わらをくわえて、じーーーっと事の成り行きを見つめているハトの旦那さんがいるではないですか。



なんだか思わず
「すみません。お邪魔しました。」と言いそうになりました。



私と視線があってしまったハトの旦那と、身を縮めて隠れていたハトの奥さんは、その後そそくさとカイヅカイブキの枝から離れていきました。



「あなた。あんなデバガメみたいな覗き野郎がいるアパートじゃあ、おちおちタマゴなんか産めませんわっっ」
「ごめん、ごめん。もう少し環境のいい住宅をみつけるよ。機嫌を直しておくれ、ハニー」
と、言ったかどうか分かりませんが、とりあえず一時間後に覗いた時には、誰もいませんでした。