村上和雄先生講演会 その②

閑話休題。再び村上先生のお話です。
人の遺伝子は、親から受け継いできたものたがら、変えることはできません。
遺伝子は変えられないけれども、環境が変わると、人は変わることができると、実感したことがあったそうです。


村上先生がアメリカに渡ったとき、一番にそれを感じたそうです。
アメリカの大学では、廊下をすれ違うたびに妙齢の美しい女性がにっこり微笑んでくれます。
「私は日本ではモテなかったのに、アメリカに来たら、給料は10倍になったし女性にはモテるし、まるで天国だ



大学では、偉い先生ほど威張らないとか。
しかも講義が面白い。


あるとき、教授が糖尿病患者の尿が入ったコップを持参して、学生にこういいました。
「糖尿病患者の尿は、尿に糖が出ているわけだから、甘いのだ。昔の医者は、糖尿病患者の尿を舐めて病気が治癒してきたか悪化してきたかを調べものだ。君たちもやってご覧」といって、教授自ら指をコップに突っ込んで、尿の味見をして見せたそうです。
「尿は、絞りたては汚くないのだ。酸化してどんどん汚くなってゆく。医者たるもの患者のためには勇気も必要だ
嫌がっていた医学生も、教授に続いて、しかも尿が酸化する前にと、先を争って糖尿病患者の尿を舐め終わった後で、教授は
「医者たるもの、勇気も必要だが、繊細な観察も必要だ。諸君は、私が人差し指を尿に漬けて、薬指を舐めたことに気がついていたかね?」
といったそうです。


こうして、日本では芽が出なかった(ご自身の談)が、アメリカの自由ユーモア感覚溢れる環境の中で、のびのびと研究に打ち込むことができたとのことでした。


遺伝子は変わらないが、環境が変われば、自分も変えられるという例を話してくださいました。