村上和雄先生講演会 その4

とぼけた口調でここまでお話になった村上先生ですが、
「実は、私がお話したいことは、ここからなんです。今まで私がお話したことは、全て忘れてくださっても結構です」といって、次のようなお話に続いていきました。



ヒトレニンのDNA解読という偉業をなし終えて、先生が得られた結論とは、
「私は、このDNAを解読するという仕事をして、皆さんから偉業をしたといわれるけれども、実は、読むことよりも書くことの方がよっぽどの偉業であって、それを書いたのは私ではない・・・ということに気づいた」
ことでした。



そこで、前回にも出てきましたが、サムシング・グレートについてのお話になっていきます。
ひとによっては、このサムシング・グレートのことをキリストと呼んだり、モハメッドと呼んだり、仏陀とよんだり、神と呼んだりしますが、所詮、DNAのプログラムを書いたのは、ヒトよりももっともっと以前のことです。
科学を深く究めた人しか言えない、究極の疑問が、きっとこういうことなんでしょう。
いったい、誰が、DNAのプログラムを書いたのか?



宗教家の人が「神」という言葉を使うと、(宗教家の方々、ごめんなさい)ちょっと胡散臭い気がしてしまうのですが、科学者が「サムシング・グレート」というと、妙に説得力があると感じるのはなぜでしょうか?



先生は、DNAを受け継ぐものとして、すべての命は大切であるという話し方をされておられました。
地球上の生命の歴史は40億年で、赤ちゃんが受精卵から生まれるまで、母親の胎内にいる時間は40週。お腹の中で、赤ちゃんは太古からヒトまでの進化を経験しているのだそうです。つまり一週間が一億年分



DNA解読という偉業をなし終えた科学者の次なる使命は、サムシング・グレートのメッセージを伝えていくことだとおっしゃっておられました。


科学を究めると、サムシング・グレートに行き着くんですね。