泣き声

我が家の裏手と、表の道を一本隔てたところに、ちょうど新婚さんにピッタリサイズのアパートが建っています。
たいてい、子供が幼稚園に上がる位に成長するころ、お引越ししていく家庭が多いようです。


この春は、ベビーラッシュで、私が知っているだけで三人の赤ちゃんが誕生しました。
どうして赤ちゃんが生まれたと分かるとかというと、泣き声です。



新生児の泣き声って独特のトーンがあって、生後三ヶ月くらいの赤ちゃんとは明らかに泣き方が違います。
擬声語では「オギャーオギャー」という表現をしますが、まさしくその泣き方です。

「オギャーオギャー」の時期は割合短くて、気がつくと子供の泣き声になっています。



自分の息子AとBを育てていた時には、そんなことにも気づかないでいました。たいてい、赤ちゃんが泣くと時って、
「あっ、オムツを替えなくちゃ」
「どこか調子でもわるいのかな」
「全然寝ないしっ」
「頭ぶつけた〜」
など、親が平常心でいられないような状況にいる場合が多いじゃない?
その点、よそのうちの赤ちゃんの泣き声は、平常心で聞けるし、心の余裕もありますから、泣き声の小さな変化も聞き取れて面白いです。



今日、二階のベランダで洗濯物を干していたら、いきなり表に面したところに建っているアパートの一室から、火の着いたような子供の泣き声が聞こえてきました。
きっと、頭をぶつけたか、何か熱いものにでも触ったか、指を挟んだか、とにかく突発的なアクシデントに遭遇した泣き方でした。
案の定お母さんのびっくりしたような声がして
「もう痛くないよ」
と子供をなだめていました。



実は、私はまだ一度も声の主である本物の赤ちゃんや子供の姿を見たことがありません。遠くから、お母さんに抱っこされて車に乗り込む姿は数度見ましたが、間近ではお目にかかる機会がありません。
でも、泣き声で、体の調子や、お腹が減っているかもとか、突発的な出来事が起きたのかも、なんてことまで聞き分けることができて、子供の成長を楽しんでいます。