水玉模様

世の中で、もっとも単純な模様の一つに、水玉模様があります。
法事なんかで精進料理が出されるときには、紫地か青地に白い水玉のプリントされたビニールの風呂敷に包まれてだされてきたものです。
幼いころは、そのビニール風呂敷のイメージがあまりにも強烈だったので、水玉=精進料理弁当の包みという図式が頭から消せませんでした。



長じて、オードリー・ヘップバーンさんを見て、水玉模様のイメージが一新しました。
彼女が、永遠にお洒落でキュートなイメージを持たれているのは、彼女自身のキャラももちろんですが、そのコステュームの水玉模様にあるのかもしれません。
ややもすると幼いイメージが付きまとう水玉模様ですが、シックな色を使えば、大人の女性にも十分通用するんじゃない?



ドットの大きさには、ちょっとこだわりがあって、やっぱり小さいドットは、あのビニール風呂敷を髣髴とさせるので、私の美意識からするとNGです。
かといって、直径二センチを超えると、水玉模様じゃなくて、「丸い模様」という印象になってしまうので、これもNG。



実は、私が理想としている水玉模様の洋服には一度しかめぐり合ったことがなくて、そのブラウスは、「思い残すことなく成仏したことでしょう」というくらい着させていただきました。
今は、洗濯中以外は、ほぼ毎日愛用している割烹着に、理想の水玉を見つけています。
もうかれこれ五年間も着ているので、色もあせて生地も弱りつつあり、そろそろ寿命が尽きそうな予感がしています。



あまりにも当たり前すぎる模様でありながら、なかなかめぐり合えない理想の水玉模様です。