高校入試の問題

意外と忘れられていますが、私立高校の入試問題は、公立高校の問題とは比べ物にならないほど難易度が高い問題ぞろいなんです。
ン十年前に塾の講師をしていたころに聞いたのが、「私立高校の入試問題は仁義無き戦い」で、中学で習ったかどうかは問題ではない、という設問が平気で出てきます。一般的に言われているのは、公立高校の入試問題が簡単すぎるって事です。



選択授業は、「古文」オンリーにターゲットを絞っていますから、後半30分の演習問題では、高校入試の問題も取り上げてやらせています。
古文の占める割合は、どこの高校でもだいたい三分の一弱、30点程度です。
公立高校入試レベルに的を絞って勉強していたら、六割取れれば御の字という程度だと思います。



例えば、古今著聞集にある、有名な和泉式部の娘である小式部内侍が「大江山〜」の歌を詠む話。
小式部内侍が、和泉式部の娘だという説明は全くありませんし、和泉式部恋多き女でしかも歌の名手であるという説明もありません。知っていて当然、という前提があります。
これらの情報を知っている人には、この問題はとっても簡単なんですが、基礎知識なしでこの問題を始めて解く人にとっては、けっこうの難題のはず。
なんで、小式部内侍が、和泉式部に手紙を送ったといわれて、それに反論しているのかが分からない状態で、正確に内容が読み取るのは難しいでしょ?



一事が万事で、本歌取りの歌が出ていたり、伊勢物語のバックグラウンドを知らなければ答えにくい問題があったりと、とにかく高度。
のほほんと源氏物語なんかやっていて大丈夫?といわれると返す言葉がありませんが、少なくとも、平安時代(鎌倉も含む)の暮らしについての基礎知識を得るという意味で意味のある授業だと自負しています。
例えば、御簾・几帳・衾・半蔀などの家具調度から、直衣・狩衣・単衣といった衣服のこと、当時の社会制度、階級、習慣など。ちなみに、授業のなかでは、直衣だの半蔀だのを教える機会はありません。源氏物語は、貴族の日常生活が描かれているわけですから、毎回毎帖、読み進めるたびに、新しく知ることがあります。


おいおい授業では教えきれない掛詞・詞書・本歌取り・・・などにも触れていくつもりです。