東京大学オーケストラ

遥か昔、私が女子大生という肩書きで呼ばれていた頃、東京大学オーケストラの夏の定期演奏会を聞きに行ったものです。
身内に東京大学のものがいたわけではありません。学生オーケストラの活動をししていた関係から、チケットを手に入れたのだと思います。
当時は会場が狭かったせいもあって、いつも満席状態でした。


今年は、本当に何十年ぶりになりますが、息子Bが学校でオーケストラ部に入った関係で、また懐かしの東大オケを聞くチャンスに遭遇しました。
会場は名古屋の芸術文化センターでしたが、お客さんの入りはほぼ八〜九割の入りで大盛況だったといえます。


プロのオーケストラと違い、一曲(三曲でしたけど)を半年かけて仕上げるわけですから、アマチュアとはいえ、最高の仕上がりで、しかも大編成の曲ばかりを演奏してくれます。
私は弦楽器を弾く人なので、特に弦楽器に目が(耳が)いくのですが、ファーストはもちろんのこと、セカンドバイオリンやビオラパートに至るまで、ボーイング(弓動のこと)の運びは素人とは思えない軽やかさです。
これは、素人の感想ですが、学生オケとプロのオケとの一番の差は、管楽器が絶叫し打楽器がバンバン打ちまくるフォルテやフォルテシモの激しい箇所ではほとんど出ないように思います。むしろ、気力・体力・編成の大きさからいうと、かえってプロオケよりも迫力という点では学生の方が勝っているともいえそう。
ところが、二楽章の静かなアダージョでしかも弦楽器の高音のみの旋律部分・・・というところで馬脚を現すというのが、一般的な大学オケなんです。


それが、東大オケの弦楽器は層が厚いというか、個人の技術が高いというか、こんな難しいところも、聞かせてくれるのです。
みなさん、どんなにハイポジションを押さえていても、ちゃんとビブラートをおかけになり、もちん音を外すなんてこともなく、しかも大人数の演奏で音に厚みがあるのですっっっ。これは、数人の上級者と、残りの「その他の枯れ木も山の賑わいたち」では、絶対に出せない音なんです。みんなまともに弾いてるってこと。


これだけの大曲を半年で仕上げ、しかも学業との両立をしている人たちって、全ての面で才能に恵まれているんだよね。
しかもそれだけじゃない。夏休みの間に、日本全国津々浦々五会場で演奏会を開いているのです。
連日の演奏をこなせる体力もあるってこと?



格差社会」というのは、よく聞きますが、こういうのを見ると「能力格差」を実感します。
すんばらしい演奏です。
来年は、ブログで前もって日時と場所と曲目を紹介しますね。