アルバイト

お隣のお宅は、ご夫婦二人暮らし+チャトラの猫、ミーちゃんという家族編成です。
我が家の実家でもネコを23年間(この猫が23年間生き続けた)飼っていたので、よっく分かりますが、家族が家を空けるときには、猫の世話係りが必要になります。
犬は、ペットホテルでもわりあい平気で過ごせるようですが、猫はダメ。
昔から犬は人に付き、猫は家に付くといわれているそうです。


だから、犬は顔見知りの人の家で居候させてもらうことも出来ますが、家に付いている猫は、なかなかなじめないというのです。


さて、お隣さんの猫は、飼い主が不在の時には、近所の猫好きの家族が面倒を見ていました。
ところが、この年末は、猫好き家族さんが揃って海外でお正月を迎えるとの事で、面倒を見てくれる人の当てがなくなってしまいました。
そこで急遽白帆の矢が立ったのが、我が家の息子Bだったのです。



もうペットが欲しくて欲しくてたまらなかった息子Bは一も二もなく、猫の世話のアルバイトを引き受ける事になったのです。
世話と言っても、水を取り替えて、餌をやるだけなのですが、一つ難点がありました。
ミーちゃんは、主人が不在の時には、家から一歩も出してもらえないので、何とかして外へ出る機会を狙っているのです。
息子Bがミーちゃんのいる居間に入る瞬間を狙って、ミーちゃんはドアの前でスタンバイしているのです。
もっとも、玄関のドアは閉じられているので外へ出ることは出来ませんが、この機会にミーちゃんは二階へ登ったり、隣の和室に入ってみたり、階段の途中に隠れたり、まあいろいろ考えるわけです。
結局は食欲に負けて居間に戻ってくるのですが、猫なりに戦略を立てているらしく、なかなか面白い。



ところで、息子Bとミーちゃんは、実はあまり面識があるわけではなく、世話をした初日はミーちゃんがひどく警戒して背中の毛を逆立てていたそうです。食欲もなくて、息子Bは心配しておりましたが、二日目からはちゃっかり足元にスリスリと擦り寄ってきたりして餌をねだるのがかわいいと息子は申しておりました。
餌やりだけなら、ものの五分で済むような仕事ですが、息子Bは毎回30分近くも猫と戯れ、大満足のアルバイトだったようです。
こうして、朝晩二回の餌やりのアルバイトを四日間、無事にやり終え、初バイトという大仕事を終えた息子Bでした。