ブラッド・ピット様    その一

息子Aは、非常に外見には無頓着な息子で、床屋へいくのがとくに嫌い。
高校一年生のときまでスポーツ刈りにしておりました。
なぜに吹奏楽部所属でスポーツ刈り?と、思われたことでしょう。
朝、寝癖で頭が変形してみえるような髪型でも平気な人ですから、うっかり髪が長いと毎朝、親子喧嘩が起きることは火を見るよりも明らかなことです。スポーツ刈りなら、最悪でも、爆発ヘアーになることだけはないので、母親の一存でスポーツ刈りになっていたのです。


高校一年の夏ごろ、息子Aは、
「運動部でもないのにスポーツ刈りなんて、すごくオタクっぽいと友人から言われた」
といって、一人で憤慨して帰宅してきました。
「いいじゃん、嘘じゃないし。十分オタクの領域に入っていると思うよ。」
といったら、ちょっとムッとして
「オレは、髪を切らないぞ」
とか何とかいって、三ヶ月くらい伸ばしていました。



三ヵ月後、当然、毎朝爆発へアーとなり、洗面所で一悶着あって、タダでさえ慌ただしい朝の時間が、殺気立つほど不穏なときとなっていたものです。


「ねぇ、いっそうロングヘアーにして、ポニーテールっていうのはどうよ」
と提案したら、さすがにそれをやるほどの度胸はないらしい。
「じゃあ、モヒカンとかは?」
これも却下。
パパイヤ鈴木のように、爆発ヘアーを極めるというのもありかも」
という提案には、さすがに呆れられました・・・・。
明日に続く・・・・・