阿修羅さん

去年か一昨年か、東京で阿修羅展が開催されたとき、空前の大人気だったとニュースで見ました。
私のように日本の仏像を知らない人でも、興福寺の阿修羅さんのことは知っていましたからね。



学生時代に、何度かお目にかかったことがありました。
薄暗いようなお堂に、わりあいぞんざいに置かれていたように記憶しています。確か、ガラスケースに一体だけ展示されていて、360度どこからでも見られるような展示だったと思います。
薄暗いような埃っぽいお堂は、下が土間だったと思うのですが、記憶違いでしょうか?



それが、一昨日見た阿修羅さんは、まったく別の建物に移されていました。
阿修羅さんのための博物館が建設されていて、千手観音様や菩薩さんやお釈迦さんの展示が続く一番奥まったところに、阿修羅さんを含めた八人(実際には七人)の仏様が収められていました。
その様子は、すっかり「展示」。
お寺じゃなくて、博物館と化していたことに驚きました。



まあ、これだけ人気が出て、阿修羅さんが居るだけですごい入場者がいるわけですから、あんな薄暗いような小さなお堂では参拝者をさばききれないのでしょう。
見る順序や、読みやすい説明や、見やすい明るさなど、さまざまに工夫されていていいと思いますが、やはりこの状況はどうみても、もはや美術品の鑑賞であって、参拝ではありません。


特に仏教に帰依しているものではないのですが、なんかイメージが違うかな?と思ってしまいました。


そういえば、去年、宇治平等院を訪れたときも、同じような感想を持ちました。
もともと鳳凰堂の壁を飾っていたであろう数々の仏様は、もっと環境のよい「博物館」に移されていて、鳳凰堂は、純粋に建物を見るというルートになっていました。
しかも、建物(鳳凰堂)を参観するために入るのに別料金が必要で、すごい行列ができていました。
美術的価値の高い仏様を保護するのには必要な処置だと思いますが・・・・。



あの薄暗い埃っぽいお堂野中で、実にさりげなく佇んでおられた阿修羅さんを見ることができたのは、すごくラッキーだったんだなぁと、しみじみ昔を思い出して阿修羅さんを見てきました。