暮らしの手帳

うちの母がずっと(20年くらい!)定期的にとっていた雑誌が、暮らしの手帳でした。
かれこれ40年も前のことです。

家庭の主婦が読むような雑誌ですが、どこか啓蒙的な役割を果たしていた、というか、それを目指す路線の内容でした。


この雑誌の目玉が、商品テスト。
例えば新しい洗濯機がでたら、それを実際に使ってみて、ここがいい、ここが悪い、ここは改良すべきだと点数がついて、消費者が購入するときの指針としての働きを担っていました。企業から一切広告料をとらないので、企業の意向を気にすることなく商品使用の感想やテスト結果が載せられたという点では、ものすごく革新的な試みですよね。
生憎と、私の実家では次から次へと新製品を買うような家ではなかったので、実際に母がこの商品テストを参考にして何かを買ったという記憶はありませんが。



ファッションについても毎月、なにかの記事が載っていました。
随分クラッシックな服装や手編みのセーターなどが紹介されているんだけど、私はその古臭さがすごく好きでした。
流行を意識しないで身を装うって、けっこうかっこいいことなんだと、幼心に感じ入ったものです。
暮らしの手帳に載っているファッション関係の記事や写真は、なんというか、時代を超越していました。



30年〜40年前の日本って、毎年のようにめまぐるしくファッションのトレンドが変化していました。ミニスカートの次はジャンパースカートで、その次はミリタリー調で、その次はミディー丈のスカートが流行って、次はパンタロンで・・・みたいなめまぐるしさ。
その中で、(スカートの丈あたりは多少変わったでしょうが・・・)ずっと古臭い感じの服が紹介され続けていた気がするんだけど、嫌味や皮肉ではなく、筋の通ったお洒落ってこういうことなんだなあ、と思ってみていました。



最近、続けて図書館で暮らしの手帳を手にすることがありました。
幾つかの記事は昔と同じものが続いて、ビックリしました。
昔、この雑誌の目玉だった商品テストは小さい記事になっていました。
ファッションの写真つき記事はわずかに1ページになっていました。
細かな違いはいくつかありましたが、変わっていなかったのは
『清く丁寧に生きる』のが大切なんだね・・・
っていう読後感が残ること。


20数年ぶりに手にとったのに、私って、ついこの間までこの雑誌を読んでいたよね、と錯覚しそうなくらいの親近感がありました。