昔、覚えたこと

中学時代に国語が嫌いだったという人でも、なんとなくうっすらと
「かろ・かっ・く・う・い・・・・」
「だろ・だっ・で・に・だ・・・・」
は記憶に残っているのでは?


それが証拠に、中学二年生に用言の活用を教える時期になると、ときどき、担任の先生から
「いやあ、懐かしいなあ。そういえば中学のときに習いましたよ」
みたいなコメントを頂く機会が増えます。
(げげっ、この先生は、教室の黒板に残っていた私の超悪筆の、あの文字を見たんだな・・・と思うと身が縮む思いですが)


中学を卒業したら恐らく、死ぬまで使うことの無いであろう用言の活用や助動詞の活用。
(中学の国語の教師にならない限り、こんな表、使わないよね〜)
しかし、十四歳のときに脳に刻まれた記憶というものは、30年経っても40年経っても残っているんですね。



それを実感したのは、数日前、古文の助動詞の活用表を見ていたときのことです。
息子たちが使っていた「古典文法入門」をつらつら眺めていたら、
「る・らる・す・さす・しむ・き・けり・つ・ぬ・たり・り・・・・」
と、口をついて出てくるじゃないですか。
え?まさかの暗記力!
昨日の晩ご飯は覚えていますが、一昨日の晩ご飯が何だったかうろ覚えの人間が、30数年前に暗記した助動詞一覧をこんなにも鮮明に覚えていたとは!
これに気を良くして、あれも思い出してみました。
「水兵リーベぼくのフネ・・・」
げっ、これも覚えているじゃん。


ひょっとして、これはアルツハイマー型記憶障害の方が体験している
「昔のことは覚えているが、10分前のことは記憶に無い」
というあの有名な症状と同じことですよね。


一度、中学・高校時代に、意味もなくただ覚えたという様々暗記項目を思い出してみてください。思いがけず、すらすら言えると思いますよ。
ビックリするほど覚えている自分に驚きと、まだまだ捨てたものじゃないという自信と、ひょっとしたらこれは老化の一現象かもという不安を感じることでしょう。