リムジンバスの怪

ちょっとした謎の出来事がありました。


初日、インチョン国際空港からリムジンバスで漢南のルネサンスホテルまで、ほぼ直通(途中で漢南の三つのホテルに立ち寄った)で、所要時間は100分でした。
けっこうゴウジャスなバスで、バスの中には(ヨーロッパの人が好みそうな)ジャコウ系のフレグランスも漂っていました。
ゆったりした革張りのシート、ピカピカの窓、広い荷物置き場。


高速に乗って気持ちよくドライブすること100分で、私たちの投宿するホテルの前に横付けされました。


「ねえねえ、意外と空港からソウル市内までのアクセスって不便なんだね」
とかなんとか言いながらホテルの回転ドアをくぐった覚えがあります。


二日目は、朝の時点でチェックアウトして、荷物を持ったままホテルを出て、民族博物館〜キョンボックンの観光をしました。荷物をホテルに預けると、また帰りにホテルに寄らなければならなくなって時間のロスが出ると考えたからです。
来る時のトランクの中身はほんの少しの着替えと身嗜みグッズが少々でしたが、帰りは、思わず買い込んでしまった韓国コスメが結構重い。


韓国通の知人からは、ソウル市内を抜ける道はいつも渋滞しているから、空港へ向かうリムジンバスの時間もそれなりに余裕を持った方がよいとのアドバイスを受けていました。確かに、交通量は多くて、中国ほどではありませんが、強引な運転をするドライバーもしばしば見かけました。(中国のドライバーのマナーの悪さはグローバルスタンダードから大きく逸脱してますっ)


さて、インサドンのインフォメーションでバス停乗り場と運行時間を聞くと、
「ソウル市内の交通事情(渋滞)が多いから、運行時間を書いた時刻表はありせん。そのかわり、大体一時間に3本くらいの割でバスが来ます」
とのこと。
よほど、渋滞しているんだ・・・・


バス停で待つこと20分。バスがやってきました。
私たちはバスの心地よい振動で眠りに誘われて、ついガーガーと居眠りを始めました。
ふと気付くと、バスは空港らしきところに停車して、他の乗客(約二名)が降りるところでした。
バスのドライバーが韓国語で
「着きました」
らしきことをいい、私たちは寝ぼけ眼でバスを降りました。


腕時計を見た夫は
「しまった。ここはインチョンじゃなくてキンポ空港なんじゃないかな」
と言い出すのです。
「びえ゛〜!」
と思わずはしたない声で答える私。
というのは、バスに乗っていた時間がたったの50分だったからです。
来る時、バスは高速道路を飛ぶように走って、しかもホテルは漢南、インサドンよりタクシーで20分以上は空港に近い場所でした。
それを鑑みると、私たちの計算では、100+20で二時間のドライブで空港につく予定でした。
それが、50分ですよ。半分以下ってどういうこと?
だから夫はここは絶対にインチョンじゃないと言い張るのです。



しばらく空港内をウロウロ探し、やっとハングル以外の文字でかかれた標識を発見して、ここがインチョン国際空港だと確認。ほっと一安心しましたが、それにしても大きな謎が残りました。
(空港内の人に、恥ずかしくて聞けないじゃないですか、「ここはどこですか?」なんてねえ・・・・)
私たちが居眠りしていた50分、どういう経路でどんな運転をして、往路にかかった時間の半分以下の所要時間でここに着いたのか?


狐につままれたような気持ちで、思わぬ時間の短縮に、ちょっとばかり手持ち無沙汰な時間を空港内で過した私たちでした。