いよよ華やぐ(上・下)

これはある意味で衝撃的な内容の本でした。
なんといっても主人公の年齢が91歳なんだから。


70代〜90代の女性が、それぞれの半生を回顧しながら、現在進行形で店(バー・呉服店)を切り回して生き生きと生活している様子が描かれています。


91歳の主人公は、離婚歴が二回あって、しかも不倫を続けつつ、それを芸の肥やし(俳人でもあります)として昇華し、赤裸々に己の半生を綴った自伝を書いている、というぶっ飛んだ人です。


な〜んかいや〜な気持ちで読み終えました。
他家の生活の調和を乱していると認識しながらも、「抑えようのない情念」とやらを是認するあたりが、ずるい。
経済的には自立しているのだから、「自分で責任をとっている」というけれど、ちょっと違う気がするのよね。


離婚は否定しないけど、不倫はやっぱり人倫に反する行為だなあ。
後半になって、不倫相手の奥さんの手記が出てくるんだけど、すごく感情移入してしまいました。
「そうよねえ、蛇蝎だよね〜、鬼だよね〜、般若だよね〜。死ねと思って当然よね〜」


その蛇蝎であり、鬼であり、般若である主人公が人生の師みたく(確かに酸いも甘いもかみ分けてきたという意味では人生経験豊富でしょうが・・・)取り上げられているのも、相手の奥さんの気持ちとしては納得できないだろうなあ。(すでに亡くなっていますが)


結局、長生きしたものが「善」ってことかなあ。