オーバーコート

昨日、たまたま大連にいる夫と電話で話をしました。
あちらは、もう「寒いっ」というへベルの冬になっていて、オーバーコートを着て屋外を歩くくらいの寒さだとか。
対する日本といえば・・・午後から小雨が降ったとはいえ、家の中で家事をしてばたばたしていたせいか、私はタンクトップに七分丈のスパッツというもので、真夏の8月の装いと何一つ変わっておりません。11月だというのに、です。


そういえば、日本で生活していたら、オーバーコートってほとんど着る機会がないのでは?ずっと屋外にい続けるような場面でしか着なくなましたよね。車や電車に乗って椅子に座るときにも、あの丈の長さは微妙に裾が気になる長さだし。もたつくし。皺になるし。なにより重いし。


私は、バブル全盛期の頃・・・・今から25年前のことです・・・・、初めての冬のボーナスでオールカシミアのオーバーコートを、いまここで値段をクチにするのが憚られるような価格で購入しました。あの頃は、値段が高ければ物がいいというへんな思い込みがすべての国民の頭に刷り込まれていました。
10数年後、アメリカ赴任を機に、当時の洋服類はすべて処分しました。
が、あのオーバーコートだけはどうしても捨てられずに今でも大切にとってあります。
「こんなにモノがいいコートなら、『一生』使っていただけます」と、確かに店員さんは言ったし、私もそう思ったからこそ買いました。
それなのに・・・・


思えば、ちょうどバブルが弾けた頃から、冬の温暖化が顕著になってきませんでしたか?20年ほど間からです。
以来、まったくあのオーバーを着たいと思うような寒さに遭遇していないし、デザインの変遷上、袖を通す勇気もありません。


まあ、唯一、あのコートが生きる道があるとしたら、冬に大連に行くことくらいかも。
えっ?あんなデザイン(バブル全盛期の頃のコートのトデザインの王道のAラインで、ちょっと肩が膨らんでいて、当然首元には仰々しいファーが着いている)のを着る勇気があるかって?
そこは、賭けみたいなところです。
中国人は、日本のバブルのファッションを知らないわけだし、初めて見るデザインだと思うんだわ。日本人なら間違いなく「あっ、懐かしい」と思うでしょうが、中国人には「うわおっ。新しい」と感じるんじゃないかって考えています。
・・・無いか・・・・