ユマニチュード

先ほど、NHKの「クローズアップ現在」という番組で、認知症ケアの新しい試み「ユマニチュード」という手法を方法を紹介していました。
高齢者が病院で入院している最中に、認知症が進んでしまうということは、しばしばおこることなんだそうです。
私の知り合いの方の旦那さんも、入院中に認知症がすすんでしまったという話を聞きました。
高齢になると、入院する機会は確実に増えるわけで、まったく他人ごとではありません。


ユマニチュードの基本的動作は四つ。見る、話す、触る、立つです。
「見る」では、ベッドに寝ている患者を上から見下ろすという行為は、支配されているという感覚を引き起こすのでNG。また、認知症患者は視野が狭まるので、真正面から視線を合わせることが大切なんだそうです。
「話す」については、穏やかに話をすることが大切で、テレビでは例えば、体の清拭の際には、一つの動作ごとにまるで実況中継するかのごとく声をかけていました。旧来の方法、例えば「今から体をふきます」と言って、後は黙々と作業していた時と比べると、いちいち声掛けしながら行った場合は、患者が自分からから体を動かそうとする様子が見られました。
「触る」では、患者は、看護する人から腕を握られることをきらうので、例えば腕を上げてもらう場合には、腕の下に介護者が手を添えるだけで、自然と患者が手を上げる様子を紹介していました。
「立つ」に関しても、基本的には触ると同じで、介護者は常に、手を添えるという態度で、一言一言声をかけながら、患者の自発を促すというのが、ユマニチュードのやり方らしいのです。
実際には、細かく150の原理原則があるそうです。ヨーロッパの病院では、この手法が実際に医療現場にとりいれられているんだって。


スタジオにきていたフランス人のユマニテイー考案者に、国谷キャスターが、こんな質問をしました。
「実際には、認知症が進んでしまっていて、なかなか会話によるコミュニケーションが取れない患者も多いのでは?」
フランス人の考案者は、
「赤ちゃんは言葉が通じなくても、信頼関係が作れます」
というようなことを話していました。
そうか〜、認知症患者には、赤ちゃんに接するように、言葉ではなくハートで接する必要があるのですね。


とはいえ、赤ちゃんは、自分の子供はもちろんのこと、よその子でも、人種も国籍も関係なく、肌の色も髪の色も超越して、太っていてもやせていても、とにかくかわいい。
ましてや、赤ちゃんから、にっこり笑いかけでもされた日には、寿命が延びる心地がします。

認知症にかかる割合が高い高齢者相手だと、「赤ちゃんに接するように」、と言われても、ちょっと難しいかも。


テレビのVTRでも紹介されていたんだけど、認知症にかかっていた男性は、奥さんに対して、攻撃的な言葉を投げかけていました。解説によると、認知症患者は、時として大変攻撃的な態度や言葉をかけるそうです。
そこが赤ちゃんと、決定的に違うのよねえ。
攻撃的な赤ちゃんなんて、見たことないもん。


認知症患者も、介護する側も「お互いに人間」なので、尊厳をもって接することが大切です、と述べておられましたが、頭では分かっていても、難しいことです。
それをやっておられる、介護スタッフや看護師さんには、頭が下がる思いです。