交通渋滞のゴンドラ

ベネツィアも、世界中の観光客の憧れの地です。
なんといってもゴンドラ抜きにはベネツィアを語ることはできません。交通手段を水上に求めている以上、至る所に橋が架かっています。ゴンドラは、いくつもの橋をくぐりますが、その風情がなんともいえません。建物にはそのゴンドラから直接出入りしたであろう「マイガレージ」が設備されています。
もちろん、「道」もあります。が、それらは人が歩くためだけの道で、馬車が通ったり、ましてや車が通れるような道幅はありません。石畳のこんな小路を歩いていると、中世にタイムスリップしたような気持になるはず・・・・・なのですが。


実は、ここベネツィアは、そんなノスタルジックに浸る気持ちにもなれないほどの怒涛の観光客で溢れかえっています。
私たちのキャプテンたる添乗員さんに、
「みなさぁん、お命の次の大切なパスポート、お財布などは絶対に肌身離さず持ってくださいよ。ものすごい観光客です。彼らに交じってスリや押し売りが狙っています。人込みの中で迷子にらならないように、しっかりと付いてきてください」
と、言われるまでもなく、この人込みの中で迷子になったら絶対に自力では戻れないという切羽詰まった緊張感から、ただひたすらに前を見て歩いていたのでした。


特に、ゴンドラの船着き場では、ラッシュアワー並みの込みようで、人を押し分け押し分け進むという感じです。これも、ツアーならではの特典で、ツアーで予約したお客は、長蛇の列を作っているお客さんを差し置いて先に通らせてもらっていたのでした。まさしく、時をお金で買っているということでしょうか。
少なくとも、ここベネツィアでゴンドラに乗る予定の個人旅行しようと計画を立てている方がおられましたら、それに一日を使うくらいの余裕ある日程を組むといいかもしれません。大体、どこにチケット売り場があるのかすら見当もつきませんでした。

そんな様子ですから、当然運河もゴンドラで一杯です。
映画「慕情」にでてくるような、あんなロマンチックなゴンドラではありませんよ。
第一、ゴンドラの漕ぎ手が朗々とカンツォーネを歌うなんてシーンは一つもありませんでした。
あれだけのゴンドラのこぎ手が、皆、カンツォーネなんか歌ったら、それはそれで相当な騒音となってしまうでしょうから。
ちょっと誇張しすぎかもしれませんが、幾十艘のゴンドラが連なって運河に漂う様子は、ディズニーの『スモールワールド』(だったかな?)を彷彿とさせるものでした。


私と夫は、じゃんけんで勝利したために、ゴンドラのペアシートに乗ることができました。