旅先で読んだ本です

旅行先には、何冊か本を持っていきます。
スーツケースに旅行の荷物を放り込んだ中に、何冊か入れていたのですが、結局前日になって二冊に絞り込みました。
『楽園のカンバス』と『ホテルローヤル 』です。
ところが、成田空港で待ち時間四時間近くもあったため、つい、再び空港内の本屋さんで見つけた兼高かおるさんのエッセイ『わたくしが旅から学んだこと』を一冊購入してしまいました。


大変失礼ではありますが、私はてっきり兼高さんは、もうお亡くなりになっているものと思い込んでいたのですが、とんでもない間違いでした。
昔、日曜日の午前中、八十日間世界一周の音楽に乗って、兼高さんと、もう一方男の方のナレーションで構成された、海外旅行旅番組がありましたが、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
すごい長寿番組だったそうです。
当時は、超お金持ち人の旅行か、海外の仕事の関係者か、リッチな家庭の留学生くらいしか、外国に足を踏みいれることはなかった時代ですよ。
その時代に北は北極、南は南極まで旅行して150か国を見て歩いた女性、それが兼高さんです。尊敬に値する行動力と、フロンティア精神の持ち主です。


すでに80歳を超えておられるとのことでしたが、本の表紙の兼高さんは60代といっても通用する、相変わらずの知的でおしゃれな女性でした。写真に写っていた立ち姿も素敵でした。立っているだけで、その姿勢とスタイルの良さには、目を奪われます。
かねてから、私は兼高さんは、日本人じゃないんじゃないかという疑問を持っておりましたが、80歳過ぎてなお美しい彼女を見て確信しました、「絶対に日本人じゃない」と。ボリューム感が違うのですよ、日本人の80歳とは。
日本人のなかにも、時々びっくりするような美しい80歳代という方はおられますが、そういう方々でさえも、一様に「枯れた」感がある。日本人としては、高齢の美人に求める要素の一つに「枯れ」があるような気がします。
それが、兼高さんの写真からは感じられません。


イタリア旅行中も、それがずっと気になっていて、帰国後、早速友人たちに、あの兼高かおるさんの「美」について報告すると、友人からは意外な一言が。
「ねえ、知ってる?兼高さんの本名はローズさんなんだよ」
兼高ローズさん。こんな素敵な名前なら、むしろ「かおる」さんよりも海外旅行案内人としての名前の通りがいいんじゃないのか!
かねてからの疑問も解けました。お父さんがインドの方だとか。
やっぱりねぇ。
あの彫の深いエキゾチックで知的な顔立ちは、「平たい顔族」のDNAじゃないよね。


さて、イタリア旅行中に、ずっと彫の深いイタリア人の顔を見てきました。本当に美男美女たちばかりでうらやましい限りでした。
ところで、一つ気が付いたことがあります。
私は随分乱暴に「欧米人」とひとくくりにしておりますが、少なくとも「アメリカ人」(こちらも乱暴なくくり方ですが)とは全く違う人種なんだなあ、ということ。
あちらのガイドさん方も言っておられましたが、イタリア人は肉が大好きで、肉食人種だといってもいい。あれだけイタリアで革製品が有名なのは、肉を食べた後の革が大量に出たためなんだとか。
それなのにイタリアでは、私がアメリカ滞在中によく見かけた「暴力的にまで太った人」にはお目にかかったことがありません。
アメリカで見かけて、イタリアで見かけなかった光景の一つが、その違い・・・肥満の有無・・・を解く鍵なんじゃないかと思います。
ずばり、アメリカ人は街を歩くときは必ずといっていいほど片手に1リットルは入るビッグサイズのカップになみなみとコーラやソーダを入れて飲んでいる。
決して大げさではありません。
アメリカ人が「歩く」のは移動のためではありません。移動手段は乗用車なんですから。たとえ100メートル先に用事があっても、自動車で移動するような人々でした。アメリカ人が歩くといったら、それはすでに娯楽そのものか、娯楽のための手段なんです。たとえばディズニーランドの敷地内を歩くとかね。
その一方で、同じ欧米人でも、アメリカ人のように飲み食いしながら歩いているイタリア人にはほとんど出会いませんでした。


太るか太らないかの違いは、肉食か否かではなくて、コーラやソーダをただで(アメリカでは、ファストフードかレストランかによらず、リフィルはフリー)がぶ飲みするか、一杯500円のファンタオレンジを買って飲むかの違いなんじゃないのか?
どうでしょう?このナンチャッテの洞察は?