絶句 パート①

「春暁」のついでに、杜甫の絶句についても一言。
これこそ、杜甫の人生と当時の世相を理解していなければ、絶対に分からない漢詩の一つだと思います。



杜甫は、盛唐の詩人で、詩聖といわれた大詩人です。もう一人の李白が詩仙で、この二人は、唐代の詩人の大双壁です。
かれらは同時期に、唐の玄宗皇帝に使えた宮廷詩人です。




杜甫については、科挙の試験を受け続けて、失敗し続けた人という話が伝わっています。噂では、字が下手だったため、不合格になっていたんだそうです。(噂です)


40歳代でやっと認められて宮仕えを果たしますが、その二年後には、三大美人として名をはせている傾国の美女、楊貴妃から始まる政変により、唐の政治は乱れ、クーデターまがいの事件が勃発して、杜甫は国都を追われます。
40数年不遇をかこって、たったの二年間人生の絶頂を味わい、また不幸のどん底を生きた詩人、というのが彼の人生。



だから、「絶句」の
江は緑にして 鳥はいよいよ白く
山は青くして 花はもえんと欲す
今春 みすみす また過ぐ
いずれの日か これ帰る年ぞ



の最終句「いずれの日か これ帰る年ぞ」は彼の経歴を知らずして絶対に理解できないと思うのね。
その、真相とは? 明日に続く