椿

小さな我が家の庭も、椿と山茶花が最盛期です。
私は個人的に、椿の花のほうが好きです。
山茶花とは違って椿のほうが花自体に主張があるような気がします。
山茶花の木の根元には、散った花びらが一面に降り積もっていて、赤や白の絨毯は、それでまたキレイです。
一方の椿はご存知の通り、ガクごと花を落とします。なので、ちょっと切花には向いていないのでしょうかねえ。



ところで、人から頂いて植えた椿で、昨年あたりから花をつけるようになったものがあります。
大輪で、白地に赤の斑が入っています。肉厚の花びらと中心の蕊がすごく豪華で、バラと比べても全然見劣りがしません。



玄関先の飾り棚に、一輪挿しを置いて、そこに例の大輪椿をいけておきました。
夜、廊下を隔てた居間にいて、玄関で何か気配を感じたので顔を出してみると、先の大輪の椿が花を落としていました。


薄暗い廊下に、ぼぉーっと白く大輪の花が一つ、何の脈絡もなく落ちているのを見て、思わずギョッとしてしまいました。
阿刀田高さんのようなストーリーテラーなら、ここから何かちょっと怖いお話でも考え付くのでしょうね。



大輪でなくて、一重咲きの椿は、これまたハイセンス。
肉厚の花びらと力強い雄しべとの調和は、寂しげだけれども弱弱しくはないのが格好いいです。凛という漢字がぴったりです。



あの超有名メゾンの祖、ココ・シャネルさんは、椿をとっても愛していたそうですよ。