瀕死ファイル

幸せなことに、私は、いまだかつてファイルにネコの糞が付いている生徒を見たことがありません。
でも、瀕死のファイルはたくさん見ます。
ファイルは一年間使うものです。厚紙の表紙ですから、三学期になるころには角は擦り切れ、表紙は傷だらけになり、落書きや雨の染みがついています。
ファイルの中身が厚くなるにしたがって、ファイルの表紙は擦り切れ汚れてくるものなのです。
これは仕方が無いことです。




ところが、一学期の中間テストが終わった時点で、すでにファイルがボロボロという生徒もクラスに2人〜3人はいるんです。
意図的にカッターナイフで刻んでいる人。
なぜか表紙が半分千切れている人。

そういう生徒に限って
「新しいファイルが欲しい」と全然悪びれずに要求してくるのですよ。


もちろんそんな生徒には
「随分派手にボロくしてくれたもんだねぇ。でも、これって持ち主の趣味だからさぁ、私は文句言わないつもり。もしも新しいのが要ると思ったら、100円ショップで買ってきたものを使ってくれても、全然文句は言いませんよ。」と、にっこり殊更やさしく言います。



でも、いまだかつて、100円ショップで新しいファイルを買ってきて中身を移し変えたという生徒にお目にかかったことはありません。