オリバー・ツイスト

先日、立ち寄った本屋さんで、チャールズ・ディケンズ著の「オリバー・ツイスト」の表紙に心が動かされて、上下二冊を買ってきました。
私が知らなかっただけでしょうが、つい最近映画化されていたのだそうです。
映画の映像からのワンカットが表紙として使われているのですが、上巻はオリバー役の子の、小鹿のように大きくて濡れた黒い瞳が、どこか遠くを見つめている横顔でした。
下巻は、泥だらけの裸足でオリバーが、石造りの立派なファサードにうつ伏せに倒れているという、見るからに涙を誘う構図のものです。



ものすごく格式ばった話しっぷりで、慣れないうちは、一章読み終えるだけで、一日分の活字理解処理能力を超えてしまうほど脳が疲れましたが、そのうちに読み飛ばすコツを掴むと、普通に読めるようになりました。
私がもう少し若くて、辛抱が足りなかったら、絶対に最後まで読むことはなかったと思います。
もし、若いころにオリバー・ツイストを読もうとして、挫折してしまった方、是非とも再度のチャレンジをお薦めします。語り部が、すごく回りくどい言い回しをしていますが、慣れてしまえばどうってことありませんよ。



お話の筋立てとしては、「氏より育ち」の逆バージョンで、「血は水よりも濃し」という前提の下に進められます。

オリバー・ツイスト」の本の中では、ノーブルな出自の者は、生まれながらにして気高く美しい心を持っているのです。


神様のお引き合わせにより、全てが大団円に片付いてしまうのにはちょっと閉口してしまいましたが、読後は心が洗われる気持ちになります。