アラビアンナイト

シンドバッドの冒険や、空飛ぶ木馬などで有名なアラビアンナイトですが、あのお話を抜粋でなく、全編読んだことありますか?
概して古典は読みにくいものですが、アラビアンナイトって私が始めて出会ったタイプの読みにくかった読み物の代表格として位置しています。
もちろん途中で挫折しました。



千夜一夜物語は、ご存知の通り、美女が毎晩寝物語に王様にお話をして差し上げるという設定になっています。
なんで美女が王様に毎夜毎夜お話をしているかというと、美女の命は、お話が途切れた時に奪われてしまうということになっているからなのですよ。
だから美女は必死になって、王様が次の晩も話の続きが聞きたいと思わせるような、取っておきのお話を紡ぎだしているのです。
そういうわけですから、美女のお話は牛の涎のごとく切れることなくタラーリタラーと続いていきます。
そんなに永遠に話が続いていくなんてありえないでしょ?
それにはすごく面白い仕掛けがあります。
Aという話が終わりそうになると、「Aの主人公は、家に戻ってきて飯炊きのおばあさんに、この話をしたというわけです。ところで飯炊きのおばあさんが若いころに・・・・」という具合に続きます。しかも、お話の中に、また別のお話があったりするのです。



なので、一度スタートしたら、アラビアの王様が中毒になったように、ずっと途切れることなく続くお話の無間地獄に絡め取られてしまうのです。


時々、図書館の片隅で《古色蒼然アラビアンナイト全5巻さん》と出会うことがあります。
なぜだか分かりませんが、数年に一度くらいの割合で、無性に手を伸ばしてみたくなる魔の刻というか魔の瞬間があるのです。
無間地獄がそこにあるっっっ。
おーーーーっ、怖い。