特別扱いパート2

そういえば、特別扱いしてほしい症候群の生徒が、私の担当している三年生の選択授業の中にも一人います。


彼はかなりの重症で、三年生の先生陣の間では周知なばかりか、一度でも彼と関わったことがある人なら、すぐに彼が噂の彼であることに気づきます。



自分がその集団の中の中心人物でなければ気がすまないというタイプの人です。
少なくとも現在の△□中学においては、 「お山の大将」という言葉は、彼のために存在している言葉だと断言しても異論は無いと思います。
今時珍しいほどのストレートな「お山の大将」ぶりで、ある意味、愛嬌があります。




例えば、プリントの問題をやりなさいと指示を出すと、自分で解けた問題は、すべて答えをいいながら解答欄に記入していきます。
分からない問題は、
「これって何?何?何?」
としつこく聞いてきます。
中三の受験期になっても、人に答えを聞いて解答欄を埋めたって、何の役にも立たない、ということすら気づかない幼さがあります。テストじゃないんだから、間違いや、自分の出来ていないところを見つけることこそが大事なのに、彼の回答欄は、いつも全問正解という状態です。
万が一にも、友達から聞き出した答えが不正解だったら、ちょっとした騒ぎになります。
「おー、お前のいってた答えじゃあ、間違ってんじゃんかよぉ」



彼にとっては、漢検5級クラスは、おそらく居心地のいい環境なんだと思います。
何と言っても、やっているのは小学校で習った漢字しか出てこないわけですし、お山の大将に対して
「おい、静かにやれよぉ」
と、言えるような勇気のある生徒は一人もいませんから。



ちなみに、彼は、数学の選択クラスもとっています。
やはり、 「彼対策」のためにアシスタントの先生が、隣に座って面倒を見ているんだそうです。
考えてみたら、究極の特別扱いですよね。