認識不足

三年生の選択授業では、前から言及している通り、底辺の生徒クラスを担当しております。
私語の多いクラスのなで、意図的におしゃべりしそうな生徒を離して座席指定をしてきましたが、これが頗る生徒に不人気で、毎回
「席替えはしないのかよ〜」
といわれ続けてきました。



後期の時間割がスタートしたのをきっかけに、いままで習った範囲の漢字テストをして、全員が80パーセント以上の出来だったら、席替えをしよう、ということで話がつきました。
80パーセントで合格、といっても、前もって、出る問題が指定してあって、その問題を一度やらせて、しかも答えあわせをして、というお膳立てがあっての80パーセントです。

その結果、予想通り半分の生徒は80パーセントには達しませんでしたが、生徒の八割は、70パーセントのラインに引っかかっていたので、三年生の先生とも相談した結果、温情をかけてやろうということになり、晴れて席替えとなりました。


今回は、成績の良い順番に後ろから並べて、悪い生徒が前列になるという方式できめました。別名「佐鳴方式」というのだそうですが、それでいきました。

席を発表したときは、「えー」とか「やだー」とか小さな悲鳴や苦情が上がりましたが、取りあえず全員が席について落ち着いたと思った時、最下位の席に座っていた男の生徒が
「どーせ俺は馬鹿だし・・」
「あーあ。この席に座ったら、周りは馬鹿ばっかでカンニングもできなくなるから、絶対に上がれないし・・・」
「俺ら馬鹿は・・・」
と、延々恨み節を吟じているのには驚いてしまいました。
彼が、ここまで成績についてこだわりがあるとは思わなかったからです。
おまけに、
「なんで、アイツがあんな席に座っているんだよ〜」
「俺と同じくらい馬鹿なのに・・・」
と続いたのには驚きでした。
誰が見ても、アイツと件の生徒は同じレベルではないので。


授業後、担任にこのことを報告すると、担任は
「大丈夫です。テストの後は毎回、そんなことを言いますが、三分で忘れてますから」
とのことでした。
あれだけの負けん気が、ずっと持続したら、絶対に学年トップになれるのに・・・と思ったんですけど。