音楽の先生

勤め先の中学では、私の斜め前の席に、音楽の先生がいます。
すごく歌声の美しい人で、年に数回リサイタルも開いておられるようです。
御年は私の実年齢マイナス3歳ということで、ご同輩といえますが、音楽の先生だけに、いつも花のある服装をしておられます。



ご本人の談によると、お偉い方には、その服装が不評らしく、胸が開きすぎだとか、スカートの丈が短すぎだとか、細かいご注意があるそうです。

さすがに、この服装で、数学や国語の担当ではマズイかもしれませんが、私は音楽と美術の先生は、少々のことは許されてもいいような気がしているのです。
芸術の分野を教えるのに、タートルネックと渋いスーツでは、教わる側の気持ち的にも盛り上がりがありませんよね。



今でも、私が中学一年生の時に習った音楽の先生のことを覚えております。いつもスリムな体を包み込むようなスッキリしたワンピースを着ていて、真っ白い襟がトレードマークでした。大学を出たての若い先生でしたが、清楚で可憐でお金持ちそうな雰囲気が、音楽の先生のピッタリのイメージでした。



一方、件の音楽の先生は40ン才、生徒のお母さんくらいの年齢なわけですから、少しくらい胸元が開いていても、その姿にトキメイたり、ムラムラするってことも無いですし。


時々、生徒の父兄からも、服装に関して一言あるんだといっておられましたが、ありきたりでない、高価そうな、花のある、芸術の世界にいきているという自負を感じさせる、そのいでたちを、私は密かに支持しているのです。