能力別クラス分けの功罪〜罪の部〜

英語の講師さんは、授業が終わる度に、深いため息をついて、職員室に入ってきます。
今のご時勢、数学や英語(ところによっては理科も)は、少人数クラスという編成を組んでいるようです。
少人数のクラス編成に関しては、名簿番号の奇数・偶数で、機械的に分けるのが一般的なようですが、私の勤め先の中学は、モデルケースらしく、能力別によってクラスを編成しています。
例えば、34人のクラスなら、発展クラスは22人で基礎クラスが12人という具合に比重をつけているようです。


能力別のクラスなら、さぞかし授業が進めやすいだろうと考えるのは、素人さんでした。
私は、国語担当なので、少人数とは縁の無い人間で、全くの素人さんです。
だから
「随分教えやすい環境なんじゃないの?」
と、思っていました。


ところが、実情は、素人が思ってもいなかった現実があるようです。
例えば、名簿番号で機械的にクラスを二つに分けた場合、一つのクラスは17人で、その中に、英語の苦手な生徒が6人います。
能力別に分けた場合、基礎コースには英語の苦手な生徒ばかりが12人集まります。
基礎コースを担当する先生は、受け持つ人数こそ減りますが、英語がまったく分からない生徒ばかり12人受け持つことのなり、英語が分からない6人を受け持つことの倍のエネルギーを使うというのです。


分かるわぁ。
得意な子に教えるエネルギーと、苦手な生徒に教えるエネルギーは、私の感覚で言うと、1対100くらい。
例えば、古文で、前の時間に「は行」は「わ行」に置き換えて発音するというルールを教えたとします。
今日の授業で改めて「かほ」をどう発音するかと聞くと、
「分かりません」
といわれます。すると再び昨日と同じことを話す必要が出てきます。


英語だと、まさしく積み重ねの内容なので、その苦労たるや筆舌に尽くせぬほどだといいます。
She likes apples.
三人称のsと複数のsについては、もう10回くらい説明したのに、未だに分からない人がいるとか・・・・・

功罪の功については、また明日。