実力テスト

三年生は、この時期に校内実力テストを受けます。
私は、生まれて初めてテストの監督という仕事を仰せつかりました。
三年生の選択授業の時間に実力テストが振り変わったためです。



チャイムが鳴って、生徒が着席すると、問題用紙と解答用紙がセットになっている印刷物を配ります。
初めのチャイムから五分間タイムラグがあって、その間に問題を配るというシステムです。
実際に問題を配る時間なんて三十秒もかかりませんから、残りの四分半は、妙に緊張した時間で、いやが上にもテスト前の緊迫したムードを高めてくれます。
「テスト始め」の掛け声で、一斉にパージをめくる音と鉛筆の走る音が響きます。



私が監督した時間帯は、数学でした。
この四十分間で、三回消しゴムや物差しを落としたのをひろい上げ、約十分おきに四回机間巡視をしました。
最初は計算問題で、ほとんどの生徒が正解でしたが、しょっぱなから間違えている生徒もいて、なんかすごく同情してしまいました。



三回目の机間巡視をするころには、テストの進捗具合に激しくばらつきがみられ、もう諦めているのか、ずっと髪の毛をいじっている子もいました。



残りの十分くらいになると、黒板の正面に掛けてある時計をチラチラ見る生徒が急に増えて、模擬試験とはいえ、入試会場を思わせるような焦りと興奮が、こちらにも伝わってきました。

終了のチャイムとともに、一つのドラマが終わり、一気に緊張と集中の糸が途切れます。


最後の最後に、一人名無しのゴンベを発見して、無事私の初体験のテスト監督の仕事が終わりました。合計で四回も名前を書き忘れるなと言ったのに、こんな大切な試験でも書き忘れる人がいるのに驚いてしまいました。
四十分間じっくり生徒を観察しました。けっこう疲れる仕事でした・・・・・