生きる気力

昔、私の妹が大学院生をしていたころ、家庭教師で一人の中学生の男の子を見ておりました。ものすごく出来の悪い生徒で、中学生なのに、分数の計算が出来ないというレベルの学力に加え、平気で嘘をつく子供でした。

あまりの出来の悪さに
「私の力ではとても及びませんから辞退します」
とやんわり断ったら、親からすがりつかんばかりにして、辞めないでほしいと頼まれたとのことでした。
この子の家庭教師が務まる学生はいなかったのです。

一対一で、手取り足取り教えてあげて、結局分数と方程式がやっと理解できるか出来ないかというあたりでとうとうお手上げとなり、強引に辞めさせてもらったと言っていました。子供は、平気で嘘をついて勉強しない工夫に全精力を傾け、はお金をひたすら浪費し、家庭教師はただただ困惑するばかり。



実は、私の担当するクラスにも、その生徒を髣髴とさせるような生徒がいます。
毎日寝ています。学校へきて、起きている時間はないと、他の生徒が言っておりました。
そのくせ、ほぼ毎日、一対一で教えてくれる丁寧で親切な塾に夜遅くまで通って勉強していると本人は言っています。

これは、絶対に時間とお金の浪費です。
妹は、どうして親は気づかないのかと訝っておりましたが、本当は気づいているのかも。
親はとうの昔に息子の無気力に気づいているのに、その事実を受け入れられなくて、高額のお金を使い、自分への言い訳にしているんじゃないのかなぁ。
「私は、息子のために、こんなにお金を使っている。手をこまねいていただけじゃない。」と。
無気力で寝てばかりいる生徒が、100人の中に二人いますが、あの子達の親には
「家庭教師に払うお金を、自分と息子の精神カウンセリングに使った方がいいと思います。」と言いたい。頭の良し悪しより先に、生きる気力をなんとかしないといけないんじゃないかなぁ?
余計なお世話?、ですよねえ。