パフューム

去年の下半期に公開された映画「パフューム」。
前評判があまりにもおどろおどろしかったので、興味はあったものの映画をみることはありませんでした。
寝正月読書三昧で過ごすために、本屋さんへ本を仕入れに行って、「パフューム」に出会い、ピピッと感じるところがあり、買ってきました。



映像がどういう出来だったかは知る由もありませんが、原作は、胸が切なくなるような、冷たくなるような、怖いような、甘美でありながら、グロテスクでもあり・・・・・というまさに香水の香りを言葉で表現できないような、そういう作品です。なにより、訳者の文章が上品だったのが、グロテスクさを表だって感じさせなかったように思います。



香水に関しては、まったくのド素人の私ですが、香りの好き嫌いははっきりしている方だと思います。
主人公グルネイユが捜し求めていた究極の香りがあるように、実は、私にも どうしても探し当てたいと思っている香りがあります。
今から20年くらい前に、ある女性がつけていた香水の名前が知りたくて仕方がありません。
この香りをどう表現したらいいか、その手段がないので、もどかしさが募ります。



言葉で表現できないことって、実は以外に多いと思いませんか?
微妙ない色合い、味、香り、触感・・・一番身近なところでは、人の顔なんかも口では絶対に表現できないでしょ?
例えば、一番間違いが起こりにくいハズの白でも、「布地屋さんで白い布を1m買ってきて」、といわれて、両者が満足するような結果には絶対にならないじゃない?



映画の前評判よりは、ずっとずっとノーマルな内容の作品でした。少なくとも、アメリカ映画に多い猟奇的殺人シーンとか、(ラストはちょっと・・・ですけど)その手の描写はないので、安心して読んでください。