納得

もうすぐ勤め先の中学校の学校祭があります。文化祭というのでしょうか
夏休み明けくらいから、クラス対抗の合唱コンクールのための練習を積んでいたようです。
三年生にとっては、これが恐らくクラス全員で力を合わせて何かをするという行事の最後の場となるのかもしれません。
12月には校内長距離大会みたいなものがありますが、これは、合唱のように練習を積み上げてみんなで一つの世界を作り上げるというものとは性質が違いますよね。



昨日、授業中に、のクラスから合唱の練習をしているのが聞こえてきました。
もう仕上げの最終段階にきているのでしょう。声に張りがあり、トーンも揃っているし、腹のそこから力を出しているのが、隣の教室に居ても伝わってきます。



あまりにも圧倒的な合唱の声が響いているので、私が教壇のまえで、何かしゃべっていてもかき消されてしまいます。かき消されるだけならまだいいのですが、自分が今、何を言おうとしてたのかさえ、思わず頭から飛んでしまうほどの音量だったのには参りました。
ところが、生徒のほうからは、何一つ不平や不満が出てこないのに、驚きでした。

「君たちも随分と大人になったじゃないかい。三年生最後のビッグイベントだもんね、少しくらいの迷惑は我慢できるくらいの心の広さは欲しいよね」
と、言いかけましたが、なんとなく虫の予感がしてやめておきました。



はたして、次の時間になって、女の勘が正しかったのが判明しました。
次の時間は、隣のクラスで国語の授業をしました。
すると、案の定、今度は先ほどまで私が国語の授業をしていたあのクラスから、合唱練習の歌声が聞こえてきたのです。
それは先ほどよりも更に大きな歌声でした。


ふ〜ん、そういうことかぁ。
妙に納得してしまった一時間でした。