夜市

以前、私が担当しているクラスの生徒から、面白い小説家を紹介してもらいました。
恒川光太郎さんという作家さんです。まだデビューして日が浅いのか、それとも私が探せていないのか分かりませんが、シリーズで何作も書いているという作家さんではないと思います。


幼い子って、すごく夜を恐れるでしょ?
基本的には、夜行性の動物じゃない限り、夜を恐れる習性があるのかもしれませんが、子ども時代の夜に対する恐れは、とくに「この世」ならぬ世界に対する恐れと同義だったような気がします。
恒川さんの作品を読むと、昔々、無性に夜や闇を恐れていた頃の記憶を呼び覚まされます。


現代版「ゲゲゲの鬼太郎」はウエンツ君が主演した実写版をはじめ、アニメ版でも画面が美しくて、不気味さがないと思いませんか?
昔のゲゲゲの鬼太郎は、オープニングの曲と画面からして恐ろし気でした。
今回読んだ「夜市」には、いろんなこの世ならぬ生き物が登場していますが、私の記憶の中の、幼い頃にテレビで見た「ゲゲゲの鬼太郎」に出てきた妖怪などの魑魅魍魎がかってに頭の中に這い出してきて、すごく不気味でした。



いくつか彼の作品を読みましたが、彼の作品のバックには、現代人のほとんどは持っていない能力なんだけど、ある特殊な血を引き継いでいる家系には、時々「あの世」(死後の世界とは違うようです)への行き来が可能な人がいるんだ、という設定になっているものが多くあります。
時々暴力的なシーンが出てくるのがちょっと気になりますが、話の設定としては面白いです。
出来ることなら、これからの作品には、あまり暴力的シーンがでてこない「静かで怖い話」を書いていってほしいです。