不安と自信

三年生は、卒業式当日まで、残すところ実質的な出校日は一ヶ月をきりました。
この時期、他の教科は知りませんが、国語は教科書の新たな単元を学習することはしておりません。
では授業中になにをやっているのかといいますと、入試問題の模擬テストとその解説に主な時間を費やしています。



例えば今日は「古典」を取り扱いました。漢文一問と古典一問を制限時間を決めて自力で解いてもらい、時間がきたら解説を聞きながら採点するという、まあ、塾でいうところに「テストゼミ」形式の授業です。
もちろん、本当はクラスの全員が解けるまで待っていてあげたいのですが、限られた時間の中で解説の時間を割こうと思うと、血も涙もなくタイムアップだと告げなければなりません。
その一方で、すらすら解けてしまって時間を持て余す生徒も出てきます。
そういう生徒が退屈しないように、テストの「裏面」には、文法問題やことわざや熟語といった言語分野の問題を作っておく必要があります。
過去問やら問題集やら国語便覧などを参考にして、20問程度は用意しておきます。



当然のことながら、「裏面」問題は宿題となり、翌日の授業の初っ端に解答を黒板に書いておき、定番問題には解説を加えます。
たとえば、①「食べられる」 ②「割れる」を単語に分けよという問題なら、当然①は「食べ」と「られる」に分けるし、②は「割れる」で一単語です。ところが①の「れる」に引きずられて「割」と「れる」に分けてしまう人もいて、そんな人から質問がでると面白いことになります。必死の形相で、
・・・・先生、どうやって見分けたら良いのかわかりません・・・そうすると、きちんと正解していたひとも、なぜか急に不安げな顔になります。
「あれぇ、急に不安になってきた。これはたまたま合っていただけかもしれない」
というのです。


そんなときには、不安げな表情をした正解者に解説してもらうんだけど、自分で解説しだすと、急に自信が復活してくるのか、けっこう上手に解説してくれます。
この時期、さすがにみなさん本気モードで、表情を作ったり装ったりする余裕もなくなるのか、ものすごく気持ちが素直に表情に出ます。
「あっ、しまった」「こんな問題なら余裕だぜ」「知らないのは俺だけ?」「よかった、あいつも間違えているし・・・」


私の決め台詞は
「大丈夫。今、分かったという人も、中学一年の時から分かっていた人も両方とも同じ重みの得点だから。今、ここで分かればいいのです。」
です。