昏き目の暗殺者

以前、このブログのブックの項目で紹介したことがあります。
『またの名をグレイス』を覚えていらっしゃいますか?
今回紹介する『昏き目の暗殺者』の作者は、同じくマーガレット・アトウッドさんです。


『昏き目の暗殺者』は、カナダのとある裕福な家庭の五代にわたる年代記であるとともに、主人公の女性の波乱万丈の人生とラブストーリーでもあります。
しかも、この作品の中にSF小説が組み込まれていて、且つ、二人の自殺者を死に追いやった人物を探すという犯人探しの要素も入っています。


以前にも、この本を借りてきて読み始めたことがありますが、あまりにも場面転換が多くて、話の筋が全く読めずにあきらめたという過去を持つ、私にとって因縁の本です。
今回は、じっくり丸々二週間かけて、腰をすえて読みました。



衝撃の結末ですよ。


じっくり読む時間と、まどろっこしい説明を耐えられる忍耐があるという自信がある方は、是非お読みください。まどろっこしいというのは、この話の語り部が「80歳を超えた老女」という設定になっていることにも起因します。
読み終えると、一気に全てのまどろっこしさが解消されます。
「あ゛〜、なんでこのことに気づかなかったんだろう!?」
という自責の念にすら駆られる結末。


以前の私のように、もしも途中で放り投げてしまっても、大丈夫。何年化したら、絶対に、また戻ってきます。気になって気になって仕方がないというほどの引力ではありませんが、図書館の棚を見ているとなぜかいつも視界の隅っこに映っているくらいの「気になり度」で、きっとあなたを誘い続けますから。