朝飯前

アメリカに住んでいたころ、しばしば教会の「日本人の奥様向け料理講座」みたいなものを開催してもらいました。私は、料理のデモを見るのが大好きなので、機会があればいつも参加したものです。


その中で、アメリカ人の奥さんが作る料理、およびデザートの定番を発見しました。
お断りしておきますが、多分、料理講座で教えてもらったお料理は、どちらかといえばアメリカントラディショナルといわれる部類のものだと思います。なぜなら、普段のアメリカ人の食事は、ハンバーガーかサンドイッチとシーザーサラダみたいなのだから。


ちょっとお客さんを招いての食事、というときにもしばしば目にしたのが、キッシュとアップルパイ(特に中西部)。
両方出てくる時もあれば、どちらか一つが出てくる時もあります。でも、この二つの料理はアメリカの伝統料理なんでしょう、きっと。


アップルパイの作り方講習会で、牧師さんの奥さんが、
「日本人の奥さんは料理が得意だとききますが、ケーキは焼きますか?」
と聞きました。
すると私を含めたほとんどの日本人がケーキはよく焼く、と答えました。
「ではパイは?」
と聞かれると、その数がぐっと減りました。
アメリカでは、朝飯前のことをピース オブ パイ というくらいよ。料理の中で一番簡単、といってもいいくらい」
といいながら、あっという間にアップルパイを焼いてくれたことを思い出します。


最近、例のアムウェイの鍋でよく作るようになったのが、パイとキッシュです。
私の感覚からすると、ピース オブ パイ より、ピース オブ ケーキ の方が身近なイディオムだし、しかもケーキのほうがもっと簡単に作れるんですが、それでもいざパイ生地を作ってみると、想像していたものよりも格段に簡単に出来上がります。
ここで言うところのパイ生地は、折パイではなくて、タルト生地を指します。
ちなみに、アメリカでパイといったら、タルト生地のパイが出てきます。
すでに子どもとたちから釘を刺されています。
「かあさん、作りたくなる気持ちはわかるけど、あまり続かないようにしてね。」