岸本葉子さんのエッセー

すごく僭越なことを書かせていただきます。
初めて、岸本葉子さんのエッセーを読んだのは、二年ほど前のことです。
そのときの感想が、
「なんか、私の文章と似てない?」というものです。
すみません・・・・すごく僭越な感想とは重々承知ですが、勝手に正直に私の心の中に沸きあがってきた感想なのです。



読み進めていくうちに、ますますその感想が確信にまでなり、ものすごく勝手に岸本さんのことを身近な人、というか、長年の知己であるかのような錯覚を覚えたのです。


読後に、作者紹介を読むと「人気エッセイスト」との紹介があり、なぜか一人でまたまた勝手に赤面してしまいました。「いやぁ、それほどでも・・・」って、べつに私が褒められているわけじゃないってば!


ものすごく自然に、40代の独身女性が日常生活で見たもの、聞いたもの、触ったもの、感じたもの、食べたもののことなどが、私と等身大の感覚でさらりと書いてあります。

例えば、地下鉄の七人掛け長ソファーに七人座っていて、次の駅で太った親父が下車してみると、なんとそのオヤジが1.5人分の座席を占有していたことが判明したとします。
そんな時、普通だったら太った親父の隣に座っていた人は、圧迫から解放されて、15センチかそこらの微調整をしてゆったりと座りなおしますよね。ところが、その微調整をしないで、空席を残しつつ、ずっとキツキツの状態をキープしたまま動かない若者の無神経さに、腹を立てている話。


「そんなことに腹が立つの?」
という方は、私や岸本さんの世界に住んでいない人です。
私は、腹立つ方の世界の住人なので、とっても嬉しかった。
こういう些細なことに、いちいち腹を立ててくれる同年代の女性が、勇気を持って世にその腹立ちを発信してくれていると思うだけで、嬉しいのです。


是非とも岸本さんのエッセー、読んでいただきたいわぁ。