教師魂

私の前の席に座っておられる先生は、大変珍しいことに、オジサン講師です。
オジサン講師とはいえ、私のような「なんちゃってオバサン講師」ではなくて、もともと中学の英語教諭をしておられた経歴の方です。
生え抜きの教師は、やっぱり違うわぁ。
たいてい給食のあと(私は給食は食べませんが・・・)、私もオジサン講師もノートの点検や小テストの採点をしています。
そんな時、オジサン講師は、いちいち間違いをチェックして朱で正解を書いているのです。
ここではっきりさせておきますが、オジサン講師の受け持っているクラスは能力別クラス編成の下のレベルのクラスです。そういうクラスで小テストをすると、十点満点で、0点が続出することになります。上のレベルのクラスの場合なら、間違いの箇所も少ないし、訂正した箇所が次回のテストに反映されることもあるので、訂正のし甲斐もあるかもしれませんが、いくら朱を入れても、一向に改善されるような形跡もないのに、毎回毎回正解を書いてあげているのです。




これは、真に教師魂を持った人にしか出来ない芸当だと思います。
ああいう真摯な姿を見ていると、うっかり涙がこぼれそうになります。
例えが悪いかも知れませんが、波打ち際で一生懸命城を建てているという感じ。建てても建てても波にさらわれて基礎が出来ない・・・・
三者がみて、涙がこぼれそうになるのに、毎回、朱で訂正された小テストを返してもらって、なんとも思わない生徒がいるのが(大半ですけど)、また悔しい。
心に響かないのかねえ・・・・・




以前、思わず
「先生、なんか虚しくないですか?」
と聞いたことがあります。
なんと答えたと思います?
「出来ない生徒を、どうやったら分かるようにさせられるか、難しいですねぇ。まあ私は少しは手助けになるかもしれないと思って、やっているんですわ」


塾の講師は上位層をターゲットにし、教師魂をもった学校の先生は下をターゲットにしているのかもしれません。