教師魂を持てない訳

実は、私もかつては、十点満点中の0から三点くらいの生徒の答案に、朱で正解を書いていた時期がありました。
これはすごい重労働なんですよ。一クラスに最低でも五〜六人はいましたから。


ところが、ある時を境に「もう二度とやらないぞ」と心に決めたのでした。
すごくやんちゃなタイプの男子生徒が、漢字の小テストが返却されると、ろくに点数も確認せずに、くちゃっと机の中に仕舞ったのを目撃したのです。
たしかに、そのテストは朱で正解がびっしり書き込んであるわけですから、赤い部分が多いテスト用紙になり、目立ってしまうのかもしれません。
それにしても、その生徒の反応には少々ムカッとさせられました。


その後、テストを返却されたときの生徒の反応を観察してみることにしました。
すると、面白いことが分かりました。
二十点満点の漢字テストで、一〜三問くらい間違えた生徒は、自分で漢字練習帳を広げて、
「あ゛〜、ここが違うんだ〜」と確認しています。隣近所の生徒とテストを見せ合って、
「なんだ、おまえもやっちまったのか?」
などとお互いのミスを指摘しあったりもしています。

ところが、五問間違えると、もう間違えた箇所を確認する生徒はいません。
半分以下の生徒は、ほぼ全員点数も見ないでさっさと仕舞ってしまいます。


本来なら、たとえ漢字の小テストにしても、間違えた漢字を訂正する時間をとってやるべきなのかも知れませんが、時間の関係で返却したら返却しっぱなしになっているのが現状です。


そんなこともあって、昨日登場したオジサン講師が、すべての間違いに朱書きしている、その忍耐と教師魂に、一目も二目も置いているというわけです。