書道の道具考

昨日は、勤め先の学校で、一斉に書き初めの時間が二時間とられていました。


だいたい想像がつくと思いますが、一クラスに一人か二人は書道の道具を持ってこない不束者がいます。
と、いうか、書道の道具を持ってこないという生徒の面子をみると、ひょっとしたら家に書道の道具がないのかも・・・とふと思いました。


実際、昨年末に国語の授業の中で、書道の時間を作ったのですが、その時も「あっ、うっかり忘れた!」という生徒と、うっかり忘れではない確信犯的な生徒の二つのグループがいました。
うっかり忘れたという生徒は、まず授業の始めに浮かぬ顔をして私のところへ報告に来ます。
「先生、今日書道の授業だということを忘れていました・・・」
といって、自ら進んで叱られに来ます。
私は、実は、こういう生徒には甘くて、というか、忘れ物をすること自体は人間なら仕方がないと、割り切っているところさえあります。だからあらかじめ、百円ショップで筆を10本買って用意しているくらいです。来年は、百円ショップで百円スズリをかっておこうかな、と思っています。



こういっちゃなんですが、実際職員室でも、事務担当の方と職員の間で、しばしばこんな会話がされています。
「○○先生、昨日お願いしておいた××の書類、まだ出ていませんが・・・・」
「あっ、忘れた!」
こんな会話は、毎日とは言いませんが、しょっちゅう聞かれます。
そのくせ、自分には甘くて、生徒には厳しい。


ところで、確信犯の生徒というのは、忘れたことすら報告に来ません。しれーっと知らん顔して席についています。
非常勤講師を始めたばかりのころは、私はこういう生徒は、単にやる気がないだけと思って、内心罵詈雑言を浴びせかけ(ここではとても公開できないような内容の罵詈雑言です)て、軽蔑すらしていました。
ところが、最近になって、この子達は、家に書道の道具がない、もしくはどこにあるのか探せないような状況の家庭なのかも、と思い当たりました。



ある時、一人の生徒が
「私の家には一つしか書道の道具がなくて、妹が使っています」
と言ってきたのです。
まあ、本心から言えば、200円で最低限の準備が出来るご時世なんだから、それくらいは買えよ〜と思ったのですが、その出費だって大変な家庭なのかもしれないじゃん?
「あっ、忘れた」
は言えても、
「家にその余裕がない」
とは言えないよね、と思ったのでした。それで、道具を忘れても、しれーっと座っていたのではないのかな?



甘いと叱られそうですが、私はそんな風に解釈して、私の授業の時には、百円ショップで買った筆と墨汁持参で授業に出ていました。